ダライラマ法王と朝食会

文字数 1,917文字

2009年ダライラマ法王のオーストラリア・ツアーも今日が最終日。シドニー、ニュージーランド、ホバートと回った法王の最後の訪問地がここメルボルンだった。

9日は「Parliament of the World's Religions―世界宗教会議」で、10日の今日は朝食会、午後にはパブリックトークが予定されていた。残念ながら宗教会議には行けなかったけれど、今日は朝食会とパブリックトークに。

朝食会は、12月10日が国際人権デーであることと20年前の今日ダライラマ法王がノーベル平和賞を受賞された記念に「Peace Trough Justice」のテーマでAMNESTY INTERNATIONALが主催したのだった。

アムネスティ・インターナショナルは基本的人権を保護するために国際的活動を続ける素晴らしいボランティア団体である。私も会員になってオーストラリア支部の会合に出席したこともあったけど、ダライラマ法王と同様、徹底した非暴力主義を掲げている。

法王のお話が聞ける!とシドニーの講義には半ばウカレ気分で会場に向かっていたけれど、今朝の朝食会は襟元を正してMelbourne Convention Centreに向かった。

まずアムネスティ・インターナショナル・オーストラリア支部ディレクターの、ショッキングなスピーチから始まった。現在、世界では5秒間毎に子どもが1人、貧困から亡くなっている、と。

その間にジュース、コーヒー、ベーカリーやヨーグルト、マッシュルームのキッシュなどゴージャスなベジタリアン・ブレックファストが振舞われたので、なんだか申し訳ない気持ちになってきた。だけどここで私が残したからといって何ら世界の益になるわけでもないので(それどころかゴミを増やしてしまうことに…)ありがたく残さず頂きました。後できっと寄付をしようと誓いつつ。

続いて、アボリジニで初めてハーバードのロースクールを卒業し、アボリジニ社会や人権のために活動されているという弁護士で法学部の教授でもある女性が、オーストラリア社会におけるアボリジニ問題についてスピーチをされた。実は私はメルボルンに移住して十年以上になるのに、アボリジニの方に会ったことがなかった。初めのころはそのことに違和感を覚えたものだったけど、改めて彼らの置かれた立場や問題を考えさせられました。

最期にダライラマ14世がチベットの亡命リーダーとして話をされた。チベットの人権問題について、文化や言語の保持問題について、地球温暖化による環境問題について、国境問題について。パブリックトークの質疑応答などでチベット問題について質問が出ても、法王はあまり具体的なことはおっしゃらないので、貴重な機会を頂けたと思う。

最後は、世界平和を願う主催者の挨拶に応える拍手がいつまでも会場に響いていた。


さて、午後のパブリックトーク。法王はシドニー同様「World Peace, Who is Responsible?」というテーマで話をされたが、私たちは子連れで行ったために、あまり長居はできなかった。。。それでも7歳の娘は真剣な顔で話を聞いていた。幼い心にもそのシンプルで力強いメッセージは残ったのかもしれない。

法王も18歳から25歳の間に慈悲心や英知を培うことがその人の一生においていかに重要であるかを強調していた。若い層が世界平和や地球環境問題に関心を持つほど、私たちの未来は明るくなるから、と。会場の中で18歳以下、25歳以下の聴衆はどれくらいいますか?と尋ねられたとき、うちの娘もちょっと得意そうに手を上げていた。

2009年オーストラリアツアーの最期は、法王がノーベル平和賞を受賞されたときのスピーチから。私たちのより良い未来を願って記しておきます。

 No matter what part of the world
 we come from, we are all basically
 the same human beings.
 We all seek happiness
 and try to avoid suffering.
 We have the same basic
 human needs and concerns.
 All of us human beings want freedom and
 the right to determine our own destiny
 as individuals and as peoples."

 His Holiness the 14th Dalai Lama, Tenzin Gyatso


 2009/12/10
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