ダライラマ法王の講義deシドニー家族旅行  

文字数 1,615文字

ダライラマ法王のオーストラリア・ツアーが始まった。明日から4日間シドニーで講義もされる。今回のテーマは『Stage of Meditation―Training the Mind for Wisdom』。英知を培い、悟りを開くための瞑想法とかのお話が聞けそう。

瞑想、仏教、ダライラマ法王―となれば、私がスルーできるはずもなく、明日から観光を兼ねて1週間ほどシドニーへ行ってきます。

観光を兼ねてっていうのは、6歳児と2歳児の子連れだから。子どもたちを夫婦で押し付け合って(?)1日交替で講義を受ける。それでどれほど実になるのかは甚だ心許ないところではあるけれど…。まあ、子どもが小さいうちは「山の行より里の行」ですよね。

私がダライラマ法王に惹かれた切掛けは、十年ほど前に読んだ法王の『The Art of Happiness』(邦題は『幸福の技法』)という本だった。ダラムサラで法王の教えを受けたアメリカの精神科医が書いた本で、仏教用語じゃなく私たちに身近な言葉で書かれているので読みやすく、心に迫った。

当時の私は東京からメルボルンの移住生活にも慣れて、余裕が出てきたぶん逆に心がダウンしちゃって、ともすれば鬱々としがちだった。外国暮らしにも英語にも異文化にも疲れ、義母の号令で束になってかかってくる夫の家族の圧力もストレスで、いつのまにか心に高~い壁を張り巡らせていた。そんな状況だったから、この地球上に法王のような人物が存在していると思うだけで、すごぉく温かぁい気持ちになれた。一日でいいから一緒に行動して、観察して、学びたいと思ったり…。

その本の話を大学の執筆コースで親しくなったオージーの友達にしたところ、なんと彼女は法王が前回来豪されたときパブリックトークに参加したのだ、というではないか!
「急用が入って行けなくなったからって友達がチケットくれたの。ノーベル平和賞を受賞したチベットのスピリチュアルリーダーってことくらいしか知らなかったけど、行って良かった! あの場にいると何ていうか、すっごいエネルギーで、全身もう宙に浮いてるような感じだった」

と、瞳をキラキラさせて、それがいかに素晴らしい体験だったかについて語ってくれた。聞いているうちに自分も、次回法王がオーストラリアに来られた暁にはぜひ行ってみようと思ったのだった。

そんな私が初めて法王の講義に参加したのは2002年だった。メルボルンで開催された数日間の講義だったと記憶しているが、生後5か月の娘メェちゃんを抱っこ紐で身体にくくりつけて、夫と二人で参加した。

メェが泣き出すと授乳して唇を塞いで、むずがると寝かしつけようと夫と交代で通路や端っこを歩いて、あやしながら。他にもそんなカップルが何組かいたのが救いだったけど、周囲の参加者に迷惑が掛からないようにその場にいるのが精いっぱいで、講義の内容なんてろくに覚えてもいない。全身が宙に浮くどころか、気が張って疲れた記憶が…。それでも心の真ん中にずしりと温かな思い出が残っている。

その後にジロング市で行われたイニシエーションの方は屋外だったので、そのぶん気は楽だったけど、やはり娘を連れて参加した。気持ちよ~く晴れ渡った冬空の下、ダライラマ法王は白ターラ尊の灌頂を授けてくれた。メェは生後5か月にして法王から灌頂を授かるという幸運に恵まれたわけだ(笑)。

2回目の2007年は、メェちゃんは学校に行っていたけれど、1歳の息子ムゥくんの方は一緒に参加した。ムゥは寝つきのいい赤ちゃんで、周りに迷惑をかけることもなく講義を拝聴することができたから「里の行」色は薄かったけど(笑)。

これでダライラマ法王のツアーに参加するのも3度目になるわけだ。今回はシドニーだし、夫と交代で参加することにしたので講義に出られる回数は減ってしまうけれど、身軽なぶん集中できるのは嬉しい。どんな体験ができることやら、楽しみデス。

2008年6月9日


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