メェ、親友とのお別れ

文字数 1,227文字

オーストラリアの学校は4学期制で、学年末は12月。12月半ばから1月まで夏休みの後に、1月末か2月頭に新学年が始まる。ちなみに開始はその年のイースターによって変わるうえに(そのイースターは満月によるの)、州ごとにも微妙に違って、毎年変わるから厄介ではある。

今は2学期。ついこの間、娘が小学1年生になったような気がするのに、今週で2学期も早終了である。明日からターム・ブレイク、学期休みだ。

いつもならお休みにウカレて上機嫌になるメェだけど、今朝は暗かった。ターム2最後の今日は、彼女が教室で親友と過ごせる最後の日だから。

お別れにメェはカードとお手製の絵本をプレゼントに用意していた。

絵本のタイトルは『Dog and Cat』。メェと言う名の犬とセーラという名の猫は大親友で、2匹はいつも仲良く遊んでいるってお話である。

生まれたときから3匹の犬に囲まれて育ち(1匹は一昨年、脳梗塞で逝ってしまったけれど)、犬が大好きなメェ。自分を犬に、親友を猫に喩えて、二人の友情を表現したらしい。

親友を失う淋しさを、誰に言われたわけでもないのに絵本という形で表現した娘の心が切なかった。お話の中では別離になど一言も触れず、ハッピーに遊んでいるって形であるのも切なく、読む者(親)の心に迫る。

きっとセーラちゃんに自分という友達がいたことを覚えていてもらいたいんだろう。本人は何も言わないけど、6歳児の幼い心で哀しんでいるんだろうなぁ…。

その日、学校が終わってからセーラちゃんが遊びに来てくれた。二人は、ダディンがわざわざ買ってきたフィンガーバン(アイシンシュガーののったコッペパン)をおやつに食べてから、セーラちゃんのママが迎えに来るまで遊んでいた。

自分も仲間に入ろうとするムゥを多少鬱陶しがりながらも、お絵かきをしたり、裏庭の芝生を犬になって駆け回ったり、キャビーハウスで砂のマフィンをつくったり―。そのさまを私はホームムービーに収めていた。

なかなか子ども同士の遊びを観察する機会は少ないのだけど、こうして見ていると楽しいものだ。今学期は学校で20世紀初頭の暮らしについて勉強したせいか、マフィンづくりは当時の時代設定であるらしい。セーラちゃんが母親でメェが父親役、ムゥは二人の幼い息子である。

メェが砂をバケツに入れてキャビーハウスに持ち帰り、「母さん、小麦粉が手に入ったぞ!」とかやっている。

「あなた、これでマフィンを作るから、お隣に頼んでミルクを少し絞ってきてくれない?」とセーラ・マミィに促されれば、メェ・ダディは架空の牛を想定しつつ空中で乳しぼりなんぞを始めたりして。

おぉ~、乳しぼりの仕方まで教わったのか~!? なんだか笑えた。

大人になった娘が、いつかこの映像を懐かしく見る日も来るんだろうなぁ。

夕方、メェはセーラちゃんの乗った車が見えなくなるまで手を振っていた。

大丈夫だよメェ、また会えるから。

6月もそろそろ終わり。明日から冬休みが始まる。

2008年6月27日
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