チベット仏教の遺品展

文字数 1,768文字

チベット仏教の遺品展「マイトレーヤ・プロジェクト 心の聖地 遺品ツアー Maitreya Project Heart Shrine RELIC TOUR」に家族で行ってきた。

これは世界ツアーだそうで、オーストラリア、ニュージーランドの各都市で展示された後もツアーは続き、遺品は最後に北インドのKushinagarに建立された152メートルの仏像Maitreya Buddha弥勒菩薩像の中に収められるのだそうである。ちなみに「Maitreyaマイトレーヤ」とは世界に慈愛の道を広める未来の仏陀だといわれている。

チベット仏教ではマスターたちの遺品には彼らの慈悲や英知の心、スピリチュアリティが具現化されるので、見る者もその祝福を共有することができると信じられている。そうして仏陀や仏教マスターたちの遺骨から見つかった遺品が、今回のように一堂に集められ海外で展示されるのは非常に稀なんだそうな。

そういう貴重な機会のせいか入場料が無料なせいか、会場には長蛇の列ができていた。故に、元々遺品展になど全く興味のなかった子どもたちはアッと言う間にブーたれてグズリ始めて、当然のことながらそのうち騒ぎ出した。

後、どれくらい待たなきゃならないんだろうか…? 他にも落ち着かない子どもたちがいるのが救いだったけど、来る途中にコンビニで買収用スナックを買ってこなかったことが心底悔やまれた。されど、後の祭り(涙)。思えばコンビニの横を通り過ぎたとき、確かに私の直感は息子ムゥの大好きな蛇のロリィを買うようにと忠告していたのだった。なのに急いでいたので無視してしまった自分が、ああ、口惜しい…。

ともすれば床を転がってしまう息子を前に「急がば、回れ」と、仏教の教えというよりも巷の教訓が脳裏を過る。「後悔、先に立たず」。なけなしの知恵と忍耐を振り絞り、じゃんけんしたり、手遊び歌を歌ったり、子どものご機嫌をとりつつ待つこと1時間。ようやっと私たちも入場することができた。

展示場は思ったよりも狭かった。四角い部屋の中央にマイトレーヤ仏陀の金の仏像が置かれ、それを囲む形で遺品が展示されていた。

マイトレーヤ仏陀の前で人々が順番に礼拝していた。仏像、遺品、花や装飾品で祭壇は美しく飾られて、薄暗い中、捧げられた水に蝋燭の炎がきらめいて、とっても綺麗。その美しい祭壇を、今にもブチ壊しそうな4歳児ムゥを宥め説得し、私、ムゥ、娘のメェ、ダディンの順番で私たちも礼拝した。

そんな状態での礼拝だったのに、手を合わせていたら胃の辺りから首にかけて背中がカッと熱くなってきたのでビックリした。なんだったんだろうか? ほんとに熱かったのよ。チャクラとかクンダリーニ系のエネルギー??? 熱は会場を出るまで続いていた。

それはさておき、今にもちょこまかと走り出しそうなムゥの手を引いて、マスターたちの遺品、レリックを見た。遺品はガラスのケースの中に美しく展示されていて、辺りにはお花やお香のいい香りが漂い、穏やかなエネルギーで満たされていた。できることなら、いちいち祈祷か瞑想でもしつつ、ゆっくりと時間をかけて眺めたいような雰囲気だった。

だが、そうはいかない。なにしろ会場は混んでいるし、子どもたちはこうるさいのだ。

それでも周囲には椅子が並べられて、瞑想や黙想に耽ってらっしゃる方々もいた。なんて羨ましいんだろう! 私もここで瞑想したいよ~~~と思っても、立ち止まってはいけない、子ども連れ。

遺品を見終わったところで、チベット僧が仏陀の遺品を手にして一人一人に祝福をしてくれていた。よく見れば知り合いのチベット僧である。列を整理していたボランティアの方も顔見知りで、せっかく来たのだからやってもらえば?と勧めてくれたので、またまた列に加わることにした。お陰で、瞑想はできなかったけど、家族そろってブレッシングはしてもらってきました。

ムゥはさすがに疲れたみたいだったけど、年上のメェの方は「綺麗だったね~、来て良かったね~」と満足そうだった。

一息ついてケーキでも食べて帰ろう!と提案すると、子どもたちは大喜び。♪お花が笑った~♬とか歌いながら、シティの凍える通りをご機嫌でスキップ歩きしてました。一緒に歩く私の心も軽く―

今夜は、何かスピリチュアルな夢が見られるかな?


  2010/6/6
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