悪夢と就寝前のお約束

文字数 1,303文字

久しぶりに悪夢を見てしまった。頭のおかしなシリアルキラーに追われるって夢。

初めは、姿は見えなかった。誰かが大型バイクで私たちを追いかけてきた。数人で一緒にいたのだけれど、逃げるうち皆ちりぢりになってしまい―

そいつはハーレーとかに乗っちゃうタイプの、がっしりと毛深いキモイ大男だった。ぼさぼさ金髪に銀縁眼鏡をかけていた。その眼鏡の奥からおそろし~く冷酷で凶悪そうな、小さな青い眼が二つ―

うっぎゃぁぁぁぁ~~~!!!

こうして書き留めてみれば、まあB級ホラー映画か、子どもが魘される類の悪夢なんだけど…。それでも何が恐かったかって、その間ず~っと耳元で図太い男の声が延々と同じフレーズを囁き続けていたのよ。

ウェイキー、ウェイキー、ネルソン
ウェイキー、ウェイキー、ネルソン

って延々、延々。単調で、不気味な響き。

やっとのことで夢の世界から無理やり起きたら、心臓バクバク。胸の真ん中がほんとーに肉体的に痛かった。あたかもハートのチャクラが悪意のスピリットから攻撃を受けたかのように。

それでものすご~く眠かったけど、眠りに戻ってしまうとその夢の世界に引きずり戻されてしまいそうで、怖くてもう眠れませんでしたよ。いい年して…ですが。これじゃあまるでムゥかメェ、2歳児か6歳児の世界ですね…。

それにしても、ネルソンって、誰っ!? 

発音的にはウィルソンに近かったかなぁ?などと思いつつ翌朝ハタと思った。それって『エルム街の悪夢』かなんかで殺人鬼のフレディ(名前違いました?)が口にしていたフレーズだったような気も…。って違うか。どうでもいいけど怖かったよ~

仏教では、死ぬ時の心の状態同様に、眠りに就く前の心の状態は非常に重要だと言われる。どんな気分で眠りに就くのかが、その後の睡眠6時間なり8時間なりに影響するから、と。故にベッドでホラー小説などを読みながら眠りに就くなど、もってのほか。寝る前に3分間でいいから瞑想をして、心を健全な状態においてから、ゆったりと眠ることを勧められる。

寝る前に本を読む習慣があった私に、その話はぴたりときた。思い返せば、ナチスのアウシュビッツ収容所を生き残った精神医フランクル氏の名著『夜と霧』の途中で寝入ってしまった夜に、夢の中でまでその本の続きを読んでいたことがあったっけ。夢に活字が出てきて、私は現実に本を読むのと同様に夢の中でもその恐ろしく残酷な収容所の日常を読んでいた!?んだ。もちろん心臓バクバク筋肉硬直で縮こまり、そんな睡眠で疲れなどとうてい取れようはずもなく…。

そうだ昨夜も、数か月前にDVDで見たボスニア紛争に巻き込まれた女性の映画のことを(すみません、タイトル忘れちゃいました)考えていたのだった。そこから心は『ワイルド・スワン』に描かれていた文化大革命時の暴力や、果てはイラクやアフガニスタン、現代のニュースで聞く惨事へと飛んでしまって…。そうだった、リラックスからは程遠い心の状態で眠ったのだった。

いかんなぁ…。やはり寝る前のリラックスはいい夢見のために重要ですよ。そう心して、今夜は短くとも瞑想してから眠ることにします。

どうぞみなさまも、良い夢を―

 2008/8/22
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