癒しの雨とベイビーダックリン

文字数 1,326文字

メルボルンは、春。近所の公園ではカモの赤ちゃんが誕生した!

先日愛犬ポーちゃんとチャー君を連れて散歩に出たら、5羽のヒナを連れた鴨のファミリーに出くわした。ふかふかふわふわ、ちっちゃな5羽のベイビーダックリン。ママ鴨とダディ鴨に見守られて、ちょこまかと泳いでいた。もうメチャ可愛いっ! 神さま、どーもありがとう! と思わず神仏に感謝を捧げたくなってしまった。

というのも、ビクトリア州は去年まで8年間にも及ぶ旱魃に見舞われていたから。川は干上がり、ダムの水位は下がり、農場では家畜が死んで、ブッシュは枯れ、森林火災も酷くなって…。ほんと~に悲惨な状態だったのよ。メルボルンでも雨乞いのフェスティバルが開かれたほどで。

この公園も長年にわたる旱魃の影響で草木は枯れて、折れてしまった樹もあるし。湖の水位も年々低くなって、干上がって。もともとこの湖には直径10メートルほどの小さな島があったのだけど、雨が降らないので湖が干上がって、岸と島との距離がどんどん縮まって…。遂には島の一部が岸と地続きになってしまったのだった。

すると人はもちろん犬や猫やキツネも往来できる場所になってしまい、そこを塒にしていた鴨たちを脅かすようになったのだった。鴨たちにはもはや安心して眠れる場所もなくなって、そのうえ湖の面積に比例して魚や虫の数も減り、餌もなくなってしまったようで、ここ数年、鴨の数は減る一方だったんだ。

そうしてなんと去年は、鴨が1羽もいなくなってしまったのよ!?

「ママ、カモが全然いないよ! どこに行っちゃったの? 死んじゃったの? 餌がないから引越しちゃったの?」と動揺する娘と一緒に鴨を探したけれど、結局1羽も見つからなかった。いやぁ、あの頃は心配したものデス。

それがその直後からメルボルンにも雨が降るようになって。初夏を迎えるころにはなんと数年ぶりに「アイランド」が戻ってきた!のでした。と言っても、島と岸との境は50cmほどの小川のようなものだったけれど。次第に水位が上がって、岸辺から島との距離も遠くなり。今では1番近いとこからでも4、5メートルくらいの距離ができた!

もう2度とあの美しい湖を見ることはないのだろうと覚悟していたのに、湖が本来の姿に戻ったのだった。そればかりか今年はカモの赤ちゃんも誕生して、ヒナ連れの鴨ファミリーが2家族も!

そんな光景に人々もやはり嬉しいようで、このところ公園は鴨ファミリーを見に訪れる人たちで賑わっている。

それにしても、愛らしいったら鴨のヒナ。陽光の下、見ているだけで心が癒される。これも雨のお陰ですねぇ。いやぁ、自然の恵ってありがたい。

などと雨が降るたびに喜んでいたら、今年は降り過ぎて洪水に!? メルボルンの方は免れたけど、ビクトリア州も地方は酷かったらしい。極端から極端へ。なんでもそうだけど、自然もバランスを保つのは難しい。地球環境問題は私たちのやはりトップ・プライオリティかも…などと思ってしまう。

さて、公園に集う皆の心を癒してくれる鴨ファミリー。ベイビーダックリングがこのまますくすくと育って、来年もたくさんのヒナに会えるといいな。もう湖が干上がることがないようにと祈るばかりデス。


2010/10/23
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