お陰様で今年もハロウィーンの夜

文字数 2,461文字

10月31日、今年もママ友クリちゃん宅で恒例のハロウィーンパーティーが開かれた。

思い返せばクリちゃんたちママ友ファミリーとの付き合いは、長女メェのマザーズグループから。当時ベイビーだった子どもたちも今ではみんな7歳になって、ほんと月日の経つのはあっという間ですね。

さて、ハロウィーンパーティーでは仮装がお約束。メェは右手にカボチャ頭のランプ、左手には魔女の箒、先の尖がった魔女帽子に黒いマントを羽織って、キュートな魔女に変身。息子のムゥはどうしても魔法使いは嫌だと海賊に、ダディンは今一つやる気に欠けるドラキュラに、私は悪魔くんに変装して、ちぐはぐ怪しげアダムス・ファミリーもどきとなって出陣デス。

クリちゃん宅の前庭にはジャック・オ・ランタンのピニャータが吊るされていた。クモの巣で覆われた玄関先の向こうには、蛍光塗料の骸骨画。ドラキュラがマントを翻し、俯きかげんにデッキの椅子に腰かけている。私たちがデッキに足をかけるや「ワッ!」

熱の入った歓迎ぶりにメェはキャーキャーはしゃいでいたけれど、ムゥは恐怖のあまり泣き出してしまった。。。「もう帰る~!」と泣き叫び、ドラキュラは急遽マスクを外して、ご機嫌取りのピエロ役を演じるハメに。結局ドラキュラ・ダディのフィルさんからハロウィーン・ロリィのぺろぺろ飴を貰ってムゥはやっと機嫌を直してくれたけど、フィルさん、ご苦労様でした!

集まった子どもたちは魔女にドラキュラ、ゾンビ、闇の妖精、フランケンシュタイン、と皆がんばっていたけれど、男子で1番目立っていたのはゾンビのハリ君だったと思う。手の込んだゾンビ衣装にゾンビマスク、なんだかヌメヌメした髪まで付いていて、フルタイムの管理職で忙しいハリ君ママはいったいいつこんなコスチュームを作ったんだろ?と感心していたら、インターネットのオークションでゲットしたそうな。

で女子の部は、主催者クリちゃんの娘さんかな。「Dead Princess」がコンセプトだそうで、白い花嫁衣装にゴシックな白化粧をして、口元には血流メーク。ドレスの胸元やベールにもご丁寧に血染めがされていた。それにしても、このペインティングは洗って落ちるんだろうか?

早速子どもたちは「ジャック・オ・ランタン」のキャンドル・スタンド作りを始めた。カボチャならぬメロンをくり貫いて、今年も皆で蝋燭立を作るんだ。アイルランド系クリちゃんの話では、元々ケルト民族から伝わったハロウィーン。本来はカボチャではなく、メロンをくり貫きハロウィン・ヘッドを作ったのだそう。それがカボチャに変わったのはアメリカからで、当時アメリカにはメロンは珍しかったものの、野生のカボチャならごろごろしていたからだそうな。いずれにしてもカボチャをくり貫くのは大変だけれども、メロンなら7歳以下の子たちでもできるってことで、みんな楽しそうに奮闘していた。

その後は子どもたち待望、ハロウィーンマーチ。「Trick or Treat?」と近所の家々を練り歩く。今年は週末に当たったので外出中のご家庭が多いであろうことを考慮して、クリちゃんが事前に風船を入れたお願いレターをご近所に配ってくれていた。参加してくれる家の門には風船がくくりつけてあるということで、子どもたちは風船を目指してどやどや押しかけてゆく。

♪Trick or treat? Smell my feet

調子っぱずれな声で合唱する姿は親から見れば微笑ましい。けど人様から見たらハタ迷惑な脅威かも……。

途中で何組もの魔女やバンパイアの集団と擦れ違った。アメリカと違って、まだまだこの辺ではハロウィーンが浸透してないもので、イカレ頭が自分たちだけでないことにお互い安堵しつつ、世間話や「あそこの家は大丈夫だよ」とか情報交換を交わして別れてゆく。もちろん子どもたちはお菓子獲得で忙しくて、それどころじゃあないのだけれども。

そうしてたんまりとお菓子をゲットした後は、そろそろ辺りも薄暗くなっている。一同はクリちゃん宅に戻って、腹ごしらえを。ハロウィーンらしからぬ、でもオージーらしくバーベキューのディナーである。

夕食を終えたころには辺りは真っ暗だった。私たちは前庭に出て、それぞれの「ジャック・オ・ランタン」に蝋燭を灯して記念撮影をした。

その後は、前庭の木に吊るされたピニャータが待っている。ピニャータとは元々南米からの遊びだそうだけど、お菓子の詰まった厚紙の箱(基本は馬の形だと聞いたけど、今はトーマスやら宝箱やらいろんなものが売られていて、子どもたちのバースデーパーティーなんかで活躍する)を吊るして、それを順番に棒で叩いては壊してゆくんだ。見事ピニャータが壊れたら、中から零れ落ちたお菓子を拾い合う。つーか、一心不乱に奪い合う子どもたちの様相はまさに嵐のようで逞しい。去年のピニャータは魔女だったけど、今年はジャック・オ・ランタンである。

それからも子どもたちはクリちゃんの用意したリンゴ食い競争(これはハロウィンとは関係なさそうだけど)をしたり、蝋燭の炎の揺れる薄暗~い部屋で、ハロウィーンの夜に起きた殺人ゲームの謎とき、なぁんてゲームに興じていた。

最期のイベント、ゴシックなDVD鑑賞では、ほとんどの子が映画の第2幕に辿り着く前に爆睡してしまった。3歳児ムゥはトリック・オア・トリートで既に疲れ果て、先にダディンとリタイアしていたのだけれど、さすがのメェも疲れ果てて映画の途中でお暇しました。

クリちゃんは、亡くなったアイルランドから移住したお母さんが毎年欠かさずハロウィーンの夜を祝ってくれていたそうで、それを無視するなんて考えられないし、こうしてみんなで祝うのが楽しいのだと言ってくれているけれど、いやぁ、この準備の良さ、手間暇のかけ方。毎年のことながら脱帽デス。クリちゃん、フィルさん、どうもありがとう! お陰で今年も楽しいハロウィーンの夜を過ごすことができました。

さて、ハロウィーン深夜、今夜はどんな夢が見れるかな?

 2009/10/31
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