雪山ロッジで暖炉の炎

文字数 1,820文字

ビクトリア州のホッサム山で雪山旅行を楽しんできた。ここメルボルンに雪は降らないのだけれど、ホッサム山は毎冬スキー客で賑わうスキーリゾートである。娘のマザーズグループ時代からのママ友、クリちゃんファミリーがロッジの会員なので、久しぶりに皆で行こう!って話になったの。

思い返せば前回みんなで冬のホッサム山に旅行をしたのは5年前、メェがまだ2歳のときだった。あのときは5家族でクリちゃんのロッジに泊まったんだ。幼い子どもたちは一面の雪景色に大喜び。雪だるまを作ったり、タボーガン遊びに興じたり、大いにはしゃいでくれた。

けれどなんといってもメインは、子どもたちには内緒で用意したサプライズ企画、8月に楽しむホワイトクリスマスだった。メルボルンのクリスマスは、デコレーションばかりは雪に彩られていても、夏の真っ盛り。北半球のクリスマスの絵本のような、暖炉の炎を囲む伝統的クリスマスを子どもたちに味あわせてあげたいと、アイリッシュ系クリちゃんママが企画したのだった。

あの夜ディナーを終え、窓の外の雪景色を眺めながら暖炉の火を囲んで談笑しているとき、突然サンタクロースが現れたのだった。サンタクロースに扮したクリちゃんのお父さんの登場である。
「Ho ho ho, Merry Christmas!!!」
そうなの、なぜか西欧サンタは常に「ホーッホッホッ」と豪快に笑いながら登場するのでした。

あのとき子どもたちは予期せぬサンタの登場に大興奮で、ほとんどヒステリックに狂喜していた。メェも長いこと、
「ママ、あの夜は雪が降っていたんだよねぇ。それでサンタがとつぜん遊びに来たんだよねぇ」と、嬉しそうに話していたっけ。
クリちゃんの狙い通り、うちの娘の中でも「サンタクロース=雪」という図式が定着した夜だった、と思う。

あれから早6年。あのときは2歳だった子どもたちは8歳になって、まだこの世に生まれてもいなかった息子も4歳になった。前回は5家族だったメンバーも、今回はこじんまりと3家族の集まりだ。

みんな未だに親交はあるのだけれども、1家族は海外出張と重なってしまって来れず。もう1家族は、選挙戦で。なんとご主人が今週土曜日のオーストラリア選挙に立候補したため選挙運動で忙しくて、とても雪山旅行なんて場合じゃない、というわけで。

ちなみに、首相の入れ替え選挙と慌ただしかったオーストラリアの政局だけど、今回の選挙でも決着はつかず、暫くは不安定そうデス。私は女性首相の誕生で喜んだ組だけど、どうなることやら…ですかねぇ。

それはさておき、久しぶりに訪れた雪国。6年ぶりのホッサム山で過ごした一面の銀世界は素晴らしかったデス。これで雪見温泉露天風呂とかあれば…って、欲張り過ぎか。

やっぱり、雪に閉ざされたロッジは雰囲気満点。みんなで囲む巨大な暖炉の炎を眺めていると、時間が止まってしまったかのよう。暖炉の火は心を穏やかに温めてくれる、癒しの力ですねぇ。うっとり。

そうして、6年前はタボーガン遊びに興じていた子どもたちだけど、今年はスキー。スキー初体験の娘もスキー教室に加わって、すっかり魅了されていた。
「もっと滑っていたい~! 帰りたくないよ~」と。

一方、ムゥの方はもっぱらタボーガンの橇遊び。といってもクリちゃんから借りたお下がりのスキーウェアを手袋がヘンだ、お靴が痛い~などとブー垂れながら半時間かけて着たうえに、ようやっと雪に繰り出すや
「雪が手袋に入ったよ~ 寒いよ~ もう帰るよ~ おうちでゆっくりしたいよ~ ティムタム(ムゥ大好物のチョコレート菓子)食べたいよ~」などと、あっという間に泣き言を連ね、今一つ雪には親しめなかったようで。

こういう根性無しのとこ、息子は私に良く似ている。実は私も凍える雪に立ち、カフェラッテのことばかりを考えていたりして。^^; いやぁ煩悩ぼんのー。「今、ここ」にはまだまだ遠いデス~

それでも息子は帰り際「新しいことがいっぱいできて、すご~く楽しかった。また行きたいよ~」
メェの方も「今度はいつスキーに行けるの?」
日本に比べスキーリゾートの少ないオーストラリア。スキーをするのはメンドーなうえにお高いのですが ^^; 

そうだねぇ、来年も雪山また行けるといいねぇ。そしたらダディンと私も今度はスキー教室にでも通おうかしら。でもって、暖炉やカフェラッテの誘惑はきっぱり断ち切って、全身全霊でスキーをしようかなぁ、と。


  2010/8/22
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