お餅ドリーム

子どもたちも私もお餅が大好き。オーストラリアに移住して以来、私はすっかり和菓子党なのだけど、子どもたちも親が有り難がるせいか洋菓子よりもだんぜん和菓子の方を喜ぶ。とりわけ娘など、初めてお餅を口にした２歳のときから、お餅やお団子を前にすれば瞳を輝かせて小さな手を打ち鳴らし、キャアキャア歓声を上げつつ食してきた。

だけどメルボルンで、お餅にありつくのは難しいの。ジャパニーズグロッセリーでパック入りのお餅を売っていたりはするのだけれど、高いし。なかなか食べる機会もない。親子で餅好きながら、食べなければ食べないで、だんだんと食べないことに慣れてしまうもので。

それがこの春休み、友だちファミリーから餅つきランチに招待された。餅つきといっても、杵や臼でぺったんぺったんつくわけではなくて、餅つき機で。

余談になるけれど、その餅つき機。友人は知人の紹介で日本に帰るという老夫婦から譲り受けたのだそうで。なんでも奥さまは日本人、ご主人はオージーのご夫婦で、日本に帰りたいという奥さまの希望で夫婦で日本に移住することにしたのだそう。いやぁ、奥さまを尊重し、還暦を過ぎて外国で暮らす決意をされたご主人、スゴイです。うちのダディンじゃ考えらんないゾ ^ ^;

話を元に戻し、餅つき機なんてものを見るのも初めてのうちの子たち。焚けたもち米がくるくると窯の中で丸まってゆくのに、もう大興奮だった。キャアキャアはしゃぎ過ぎて杓文字でお餅を突っついたりして。

つけたお餅は、皆でくるくると丸めて、平べったく形を整えていった。きな粉に、あんこ、醤油につけて海苔を巻いてと、つきたてのお餅をみんなで楽しんだ。メェとムゥのはしゃぎようと食べっぷりときたら…。友達の手前ちょっと恥ずかしいくらいでしたわ。

そうしてその日から、もともと餅好きだった娘の心に火がついてしまったのだった。メェは、餅が食べたい餅が食べたいと、なにかにつけておねだりをするようになってしまったの。
「ママ、あのお餅おいしかったよね～　やわらかかったよね～　また食べたいね～」

そこで学校の帰りにジャパニーズグロッセリーに寄ってみた。けれど残念ながらパック入りのお餅は切れていて。心底がっかりした顔で、メエ。
「餅つき機があればいつでもお餅、食べられるのにねぇ。いいなぁ、うちに餅つき機があると。楽しいだろうね～、お餅つき機のある生活」

おいおい ^ ^;　でも確かに、あると嬉しいかも。けれど餅つき機って、メルボルンで買えるのかっ！？

先週の日曜日、友達が日本式炊飯器を買ったと言っていたアジア系の街Springvaleに餅つき機の視察に行ってきた。炊飯器はあったものの(これで両親が昔お土産に成田空港で買ってきてくれた炊飯器が壊れても買い替えできます、ほっ)、やはり餅つき機は売っておらんかった。

「じゃあやっぱり、お餅はもう…」とまたもや心底ガックリのメェ。

そこで我が家も昨日、初の餅つきに挑戦した。もち米を炊飯器でやわらか～く焚いたものを臼、ならぬプラスチックのボールに入れて、杵の代わりにクッキーの生地とかを延ばす木製のローラでプリマティヴな方法ながらついてみました。

それでも、ついているうちにもち米の粒も潰れて、あらら、だんだんと餅めいてくる！　メェはもちろん、それほど餅派でもなかった息子のムゥも大喜びで。

十分もつきつきしていたら、ほとんど餅(らしき)状態になってきた。もち米をやわらかく炊き過ぎたせいか、ローラーに水をつけつけついていたせいか、やたらとやわらか～いお餅になってしまったけれども。それでもできましたよ、餅(もどき)！　あんこと、醤油に海苔の磯部巻きふうと２種類の味を楽しんだ。

「ほんとのお餅だね！　ママ、ほんとにお餅できたんだねっ！」と、メェなど舞い上がらんばかりに喜んでいたけれど、いやぁ～実際、なかなか美味しかったデスよ、「餅もどき」。つーか、「なんちゃって餅」。

それでもこんなに感激してくれたので、餅ディナーは今後も我が家の、とりわけ日曜の定番メニューにしよう。エンタメ性も高いからゲーム感覚で子どもたちと一緒に作りたい。具だくさんのお味噌汁でもつければ、それなりに栄養も足りそうだし。

ちなみに娘は残ったお餅を明日の朝食に食べるのだそうで。そのまたちなみに、伸ばして四角く切り落とした餅を冷凍して保存したかったのだけれども、やわらかすぎて叶わんかった。包丁についたままぶにょ～～～んと伸びちゃうもので…。

とにかく、できて良かったデス、自家製餅 (もどき)。


2010/10/17