ハイチェアさんもお世話になりました

文字数 1,970文字

半年に1度の粗大ゴミの日。我が家でもガレージや物置のそこかしこで、じ~っとこの日を待ち続けていた品々が。息子のハイチェアは2カ月前からの待機品だけど、壊れたパソコンのモニターやガーデン・アンブレラなんか、年に2回しかない粗大ゴミの日を何度となく忘れてしまったせいで、2、3年間は放置され続けてきたって代物で。たたでさえ手狭なガレージで正直かなり邪魔くさかったのよ。ああ、これでやっと片付く。

早速ダディンと二人、壊れたり使わなくなったりしたPCモニターやマットレス、巨大なビーンバッグクッション、ベイビーカー、ベイビーチェア、ガーデンアンブレラや木材なんかを家の前の通りに積み上げていった。

それでも、愛着のある品々である。とりわけムゥのハイチェアなんて長女が赤ちゃんのころから使っているから、思えば7年以上もお世話になったわけで。幼い娘や息子たちの思い出も重なって、やはり感慨に浸ってしまう。

だけど感傷に浸ってしまっては、モノは捨てられないものね。だってもう置く場所がない。要らないものは断捨離、処分しないとね~。

そうはいっても、広大なオーストラリアでもゴミ問題は深刻だ。できることならリサイクルをと、使えそうなものは救世軍のOPショップ(ボランティア団体運営のリサイクルショップ)に持ち込んだり、人にあげたりを心掛けてきたものの、そうそう引き取り手が見つかるものでもない。

たとえばヘイビーカー。壊れてしまったわけではないのでOPショップに持ち込んだけど引き取ってもらえなかった。なんでも安全性が重視される製品はOPショップではリサイクルできない決まりになっているんだそうで。納得のルールではあるけれど、いやぁ人のみならずモノも第2の人生は案外難しいものですねぇ。

いずれにしても、捨ててみればさっぱり、すっきり! 物を整理する、不要な物を手放す、身軽になるということはなんて気持ちいいんでしょ。断捨離の喜び―

いつの間にか、通りには様々な物が積み上げられていた。そうして捨てられたゴミの中から使えそうなものを探しに回る人たちで今朝の通りは妙に賑やかだった。車をのろのろ走らせながら家々の粗大ゴミを吟味する人。犬の散歩がてらゴミ探索を楽しむ家族。リヤカーをひいた若者二人組はかなり真剣にチェックしている。ちょっといつもと違う通りの風景ね。

いやぁ、粗大ゴミに出された品々でも第2の人生(つーか、物生か)、リサイクルのチャンスがあるというのは素晴らしいことデス。

さて、私たちも犬の散歩がてら家族で粗大ゴミのチェックに出かけた。「このスーツケースはきっと誰かがもらってゆくよ」とか、「このオーディオセットはけっこう新しそうなのに壊れちゃったのかな? 誰かメカに強い人が拾ってってくれるかもね~」などとゴミの未来を予測しながら歩くのも、この日ならでは。

「あのひと、あんなふうに自転車乗ってる。危ないよぅ」とメェに言われて見遣れば、梯子(しかもかな~り長い)を片手に抱えた男性が、ふらふらと自転車を片手漕ぎしていた。左手に梯子、右手に自転車のハンドルを握り、あっちにふ~らりこっちにふ~らりと蛇行しながら自転車から降りもせず家々の粗大ゴミを吟味しているんだ。いやぁ器用なもんデス、ほとんど神業の域ですね。などと感心している場合ではなく、確かに危なっかしかったけど。

散歩から戻ると、我が家の前の通りに並べた粗大ゴミにも変化があった。30分ほどの散歩の間にベイビーカーとガーデンアンブレラがなくなっていた! 良かったね、あんたたち壊れていたわけじゃあなかったもんね。第2の物生を送れるんだね、おめでとー!

けれど代りに見覚えのないTVが…。どうやらベイビーカーかガーデンアンブレラを引き取ってくれた方が運びきれなくなって、代わりにこのテレビを見捨てていったらしい。むむむ…。

ちなみに危険な自転車乗り、その後もまた見かけました。自転車から降りて、カウチを吟味中だった。で、足元にはあの梯子。どうやらカウチが気に入って、運搬方法を思案されていたようで。だけどいくらなんでも自転車でカウチと梯子を一度に運搬するのは無理だろーなぁ…。

そうなると、残っていることを願いつつ、どちらかを先に運んでから再び戻ってくるんだろーか? 我が家の前に置き去りにされた見覚えのないTVも、後で引き取りに戻ってきてもらえると有り難いんだけどなぁ。

かように粗大ゴミにもささやかながらドラマがあるのだった。明日の朝までに我が家のコたちも、もっと引き取られていると嬉しいんだけどなぁ。

ちなみに翌朝、家族の愛着を一身に背負ったハイチェアは昨日と同じ場所で朝露に濡れておりました。やはり誰にも引き取ってもらえなかったらしい。仕方ないか、だって足乗せ部分が壊れているもんねぇ。


2010/11/7
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