第24話

文字数 653文字

(助かった。颯来を招待するの忘れてて良かった、こんな風に役立つとは……)
 先日望未が愉香に『協力する』と言ったあの日、愉香からの提案だった。

「ね、遥。望未君もいるんだったら、ね」
「……うん」
 遥が小さく頷くのを見届けて愉香が振り返る。
「颯来がね、遥、自宅で不安が消えるならメッセージトークくらいどうって言うから……」
「いいの? 自宅の時まで俺らが入り込んだら、休まらないんじゃない?」
「望未君と四人から始めればきっと……」
「分かった。颯来きっと喜ぶな」
「……そうね……。望未君から颯来、誘っといて」

 それから二人とも予選の事ばかりで、忘れていた。


(忘れていたことは颯来には黙っておこう)
 望未は子供の様に微笑んだ。


◆◇◆◇


「遥、今度の日曜、望未君の試合応援行こう。颯来も出るんだって」
「うん……知ってる」
「そっか、そっか。ここ最近急にメッセージ来るもんね」
「うん……でも……」
「ダメ、行くよ、遥」
「……そうね。みんな頑張ってる、応援しなくちゃ」
「遥を熱狂させるための試合で望未のためじゃないって颯来は。二人も応援してくれてるんだし、応援するよ」
「実は私、試合、少し楽しみだったんだ」
「そう、楽しまなくっちゃ」


 そして快晴の日曜日が訪れる。

「サイン大丈夫だろうな?」
「……バカにしているのか?」
「だよな、頭はストレート、お腹はスライダー。ベンチの中村先輩を見逃すなよ」
「はいはい、高さとか外内はジェスチャーしてくれるんだろ?」
「ルールは?」
「投げて、打って、捕る。簡単なもんだ」
「……」
「さーて燃えてきたぜ」
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