第3話

文字数 408文字

 五月の体育祭に向けての準備が始まりだしても、クラスに溶け込めていない女子がいる。
 遠野遥〔とおの はるか〕。

 体育祭に向かって、気温と共に徐々に盛り上がっていくクラスに追い付いていけないのも、遥が体育をずっと見学しているので当然である。
 その理由は担任からホームルームで周知されていた。遥は現在、目が見えていない。
『あの彼女』、遥の目が見えてない事を良いことに『あんなこと』をされていたことを望未は知った。

 ここに至るまでの遥は、飾らず派手な印象はなく、控えめな明るさとおしとやかなイメージ、整った顔立ち、長い髪で背も高く、大人びていた。
 その端麗な容姿がもたらした効果により、遥は一年生の頃からよく告白された。遥に振られた男子は少なくない。現に望未も見惚れてしまった。
(その腹いせ?)
 望未はそんなことを思わなくもない。
(そう言えば、可愛い子がいるって話題になってたな。遠野遥、噂はそんな名前だったかもしれない)
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