第41話

文字数 365文字

 この話が三年生の耳に入ったのだろう。望未は特にかわいがられた。
「ピッチャーはダメだけど、キャッチャーならできるって?」
「ずいぶん捕手も舐められたもんだな」
 そう言って望未だけプロテクターやレガースを装着したままランニング。
「お前は全部付けたままやれ」
 その内、スクワットやダッシュまでもキャッチャー使用。
「中学は軟式野球だったんだろ?」
「リード以外はそこそこできるみたいだけど、硬球にもっと慣れてもらわないとな」
 今度は五メートルの距離から複数人からショートバウンドのボールを投げられる。
「後ろに逸らすな、体を張れよバカ」
「前に、それに下へ。高く、遠くに転がしてんじゃねーよ、使えねーな」
「ベルトより下の球くらい捕れよ、止めて終わりじゃねーだろ、下手くそ」
 言葉汚く寄って集って罵られる。『特訓』という名の『しごき』とも言えた。
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