第158話 最終話

文字数 585文字

「千城か……倒し甲斐がありそうだな」
「ぬぬぬ、うーん……俺は全部を出し切ったんだぜ、正直勝てると思ったよ。でも……一番はまだ遠かった」
「なら、『全部』の量を増やすしかないよな」
「……とりあえず俺は団体戦で一番になってくるよ、彦とならやれるはずだ」
「本当の勝負は来年、だ」
「今に見てろよ」
「俺たちなら、できる」
「あー……でも、これまでだってそんなサボってなかったんだけどなー。どーすりゃ勝てんだろ、望未……自信ある?」
「やるしかない、勝たないと、遥ちゃんに……」
 望未は遥に目をやる。
「好きな人って……なんかこう、パワーが出るよな、望未」
「ああ、だからまだやれるさ」
「一番になって俺も早く……」
「俺もって……まだ颯来……」
 颯来を見て、愉香に視線を移す。代わりに颯来が遥を見つめる。
「望未はもうとっくにパワーを手に入れてると思ったけどな」
「……こっちのセリフだよ」
「何にしてもお互いやる理由が増えたな」
「今日はまだ落ち込んでもいい」
「でもいつまでも挫けている暇はない」
「今、できないことに下を向く必要はない」
「なんせ俺たちは『未来』だかんな」


***


「望未……、結局『次勝つ主人公』的な話しちゃったな」
「最初で最後だ」
「もう『次』はない」


「颯来、『次』の『未来』はパン屋か?」
「……ニャロ……パン屋の専門学校だよ」


***


                          終
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