第88話
文字数 514文字
「びっくりした?」
「まったく、どうすんのかと焦ったよ」
「愉香ちゃんを盗られると思った?」
「バカ言ってんじゃねーよ」
「……この間、思ったんだ。颯来、お前も男ならハッキリさせろ。颯来が良いなら俺は愉香ちゃんに告白する」
「な……?」
「俺、本気だぞ?」
「…………止めとけよ」
「じゃあ、どうする? 勝負するか? 劇の続きをリアルで、宣伝通り」
「乗らねーよ」
「負けそうだからか?」
「愉香は物じゃないってことだよ」
「颯来、お前は俺に勝てないんだ、何一つ」
らしくなく挑発する千城。
「ンニャロー」
焚き付けられたのも一瞬、グッと堪える颯来。もう同じ過ちは繰り返さない。
(考えろ、彦は俺を挑発している。何か意図があるはずだ……明音先生は言った『強い者は戦う前に勝利する準備ができている』、だからきっと、このまま乗ったら彦の思う壺だ)
千城は動けない颯来を見て、
「いつでも相手になるよ。ぬるま湯の時間は終わりだ」
そう吐き捨てる。
それから千城は孤立して行く。今回の部活動紹介のやり方にも不満が出た。結果、新入部員は増えなかった、野次馬とマネージャー志望の女生徒ばかりで、賑わえども成果は乏しかった。
千城一人が女生徒のギャラリーに喜んでいた……。
「まったく、どうすんのかと焦ったよ」
「愉香ちゃんを盗られると思った?」
「バカ言ってんじゃねーよ」
「……この間、思ったんだ。颯来、お前も男ならハッキリさせろ。颯来が良いなら俺は愉香ちゃんに告白する」
「な……?」
「俺、本気だぞ?」
「…………止めとけよ」
「じゃあ、どうする? 勝負するか? 劇の続きをリアルで、宣伝通り」
「乗らねーよ」
「負けそうだからか?」
「愉香は物じゃないってことだよ」
「颯来、お前は俺に勝てないんだ、何一つ」
らしくなく挑発する千城。
「ンニャロー」
焚き付けられたのも一瞬、グッと堪える颯来。もう同じ過ちは繰り返さない。
(考えろ、彦は俺を挑発している。何か意図があるはずだ……明音先生は言った『強い者は戦う前に勝利する準備ができている』、だからきっと、このまま乗ったら彦の思う壺だ)
千城は動けない颯来を見て、
「いつでも相手になるよ。ぬるま湯の時間は終わりだ」
そう吐き捨てる。
それから千城は孤立して行く。今回の部活動紹介のやり方にも不満が出た。結果、新入部員は増えなかった、野次馬とマネージャー志望の女生徒ばかりで、賑わえども成果は乏しかった。
千城一人が女生徒のギャラリーに喜んでいた……。