第107話
文字数 640文字
「女絡みか、つまんねーの」
里見は春原と望未のやり取りを見ていて呟く。正確には望未の顔や頭全体を確認し、春原の顔をもう一度見直した。
里見は自分の頭を確かめるように触る。更科高野球部は基本的に坊主である。大城学園は今年から自由だ。加えて春原は女子に人気があると聞く。
「何だ?」
里見の視線に気付いた彼方の問いには答えない。
(彼方……お前はどうでもいい、お前には野球があるさ)
彼方は野球以外、幸が薄そうに思われるその姿、それを見て里見は思わず同情してしまう。
そして遥、その可愛いさが尚の事気に入らない。
「……ありがとう……ございます」
「別にぃ……」
改まって礼をする望未にも鋭い眼差しを向ける里見。
「あ、あの、ありがとうございました」
遥も深く頭を下げ、皆にお礼を言う。
「里見さんとバッタリ会ってさ、来生を探してたんだ」
「……マネージャーか……いいな」
彼方だけはマイペースである。
「更科はうちより多いじゃないですか、マネージャー」
春原はしっかり彼方の言葉を拾う。
「……いるよ、大勢」
彼方は含みを持たせた表情を里見へ向ける。
「何か興醒めしちゃったな、帰ろうぜ、彼方」
里見は歩き出す。
「試合では今日のようには行かないからな」
里見の捨て台詞は、大城学園側だけが理解ができなかった。何も言えずに見送る望未は、彼方が投げかけた一瞥に気付く。
「おい……お前も、才能に魅せられたようだな」
「……えぇ。あなたを抑えられるのは大師しかいませんよ、もちろん俺のリードで」
「……やってみろ」
里見は春原と望未のやり取りを見ていて呟く。正確には望未の顔や頭全体を確認し、春原の顔をもう一度見直した。
里見は自分の頭を確かめるように触る。更科高野球部は基本的に坊主である。大城学園は今年から自由だ。加えて春原は女子に人気があると聞く。
「何だ?」
里見の視線に気付いた彼方の問いには答えない。
(彼方……お前はどうでもいい、お前には野球があるさ)
彼方は野球以外、幸が薄そうに思われるその姿、それを見て里見は思わず同情してしまう。
そして遥、その可愛いさが尚の事気に入らない。
「……ありがとう……ございます」
「別にぃ……」
改まって礼をする望未にも鋭い眼差しを向ける里見。
「あ、あの、ありがとうございました」
遥も深く頭を下げ、皆にお礼を言う。
「里見さんとバッタリ会ってさ、来生を探してたんだ」
「……マネージャーか……いいな」
彼方だけはマイペースである。
「更科はうちより多いじゃないですか、マネージャー」
春原はしっかり彼方の言葉を拾う。
「……いるよ、大勢」
彼方は含みを持たせた表情を里見へ向ける。
「何か興醒めしちゃったな、帰ろうぜ、彼方」
里見は歩き出す。
「試合では今日のようには行かないからな」
里見の捨て台詞は、大城学園側だけが理解ができなかった。何も言えずに見送る望未は、彼方が投げかけた一瞥に気付く。
「おい……お前も、才能に魅せられたようだな」
「……えぇ。あなたを抑えられるのは大師しかいませんよ、もちろん俺のリードで」
「……やってみろ」