第131話

文字数 376文字

「エラーです! エラー。ついにパーフェクトが破られた、いや止まりました」
 地方テレビのアナウンサーの声は、音量ボタンが一つ二つ押されたかのように興奮でヴォリュームが上がる。
「セカンド、名手和田、痛恨のエラー。二遊間への当たり、一塁送球で足を踏みかえた軸足が滑ってしまいました」

 塁上は春原。九回二死、一塁。大城学園に最初で最後のチャンスが回ってきた。
 打順は一番今関、更科高校の守備陣も一つのミスも許されない状況からのエラー。そしてそのプレッシャーは終わったけれども、次の重圧がのしかかっているはずである。雨が大城学園に味方している。
「イケー、イマゼキィー」
 ナイン、ベンチ、応援席から声援が飛ぶ。春原も塁上からリードで援護する。里見はそれを嫌い、一塁へ牽制球を投げる。それが雨で滑ったのか悪送球。春原は二塁、スコアリングポジションへの進塁に成功する。

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