第42話

文字数 589文字

 望未は夏の大会、背番号20、控え投手、兼控捕手としてベンチ入りをする。どこのチームも使える投手は多い方がいい。三番手の捕手としての期待はないと言って良い。
 しかしそのおかげで良縁が生まれる。同じ一年で投手、春原大師〔はるはら たいし〕いきなりの背番号10、身長180センチの本格右腕、二番手投手である。
(そう、こういう男こそが才能だ)
 望未から見て、正直現三年のエース丸田より実力を感じている。
(コイツと三年間バッテリーを組めるとは有り難い)
 同じ時間に才能と巡り合う可能性は決して高くない。



 シード校、二回戦からの大城学園は順調に勝ち進む。その中でエース、二番手は勿論、三回戦、四回戦では先を見越して三番手、四番手である望未も出場する。
 七試合勝たないと甲子園はない。望未と春原は一年生レギュラーというのもあって、三年生から数々の『しごき』に耐えここまで来ている。そして三年生には昨年四強の意地がある。男たちの意地と根性が右肩下がりの野球部を再び四強まで迫らせる。
 四強を決めるその五回戦の対戦相手は更科高である。そして望未はそのオーダーを見て唖然とする。

 四番ファースト彼方、背番号3。六番ピッチャー里見、背番号1とある。彼方もまた里見に投手としての才能を気付かされたのか、打者に専念する方向を取ったのか。
 いずれにせよ、エース里見はとんでもない怪物であるに違いなかった。
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