第127話 住人

文字数 422文字

 武道館、颯来は個人戦準々決勝、対豊橋戦を迎えていた。勝てば県四強となる準々決勝で当たるには惜しい組み合わせだ。
(彦の方のブロックに居ればいいものの……面倒な奴だ)
「俺の方のブロックに居れば良かった……なんて思ってんだろ」
 千城が面を縛る颯来の後ろから声を掛ける。
(悪魔め、心が読めるのか)
「県優勝狙ってるんなら、どうせ倒さなければいけないだろ?」
「そりゃそうだけど、彦を倒せばアイツを倒さなくったって、最強の称号を得たと同じだろ」
「言うねぇ……豊橋が俺より強いかもしれないじゃん」
「お前が本気でそう言ったのなら、俺の優勝は固いな」
「自信だねぇ……。でも面倒とか抜きで、豊橋は颯来のブロック側に居て良かったと俺は思ってるよ」
「相性の問題か?」
「そ、でも俺と豊橋の事じゃないぜ」
「ん?」
「ま、颯来は豊橋にそこそこ苦戦するってことかな」
「ヘン!」
「あんま、調子に乗るなよ」
「分かってら」
「決勝で待ってるぜ」
「調子乗んなよな」
「俺は大丈夫」
「ニャロ」
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