第52話

文字数 476文字

「いらっしゃいませ、あ」
「ウッス」
「こんちには」
 千城は挨拶しながら、『誰?』とばかりに颯来に肘で小突く。

「お姉ちゃーん、颯来君と……お友達ィー」
「へー妹さん」
「こんにちは……。颯来君ずいぶん久しぶりだね」
 少し照れている様子だ。挨拶してすぐ奥へ引っ込んでしまう。入れ替わりに出てきたのも愉香ではない。

「あら、颯来君いらっしゃい。珍しいわね」
「あ、どもッス」
「あの人がいなくなってからだから……大きくなったわね」
「すみません、御無沙汰して……」
「お母さんはよく来てくれるのよ、お姉ちゃんと」
「知ってます、パン置いてあるんで」
「何? 颯来、お前も姉ちゃんいるの」
「え? あ、まぁ……」
「いらっしゃい、颯来君のお友達?」
 颯来の返答が言い終わらないうちに、愉香の母が千城に元気よく声を掛ける。
「こんにちはッス」
「愉香、友達来てるわよー。早くしなさい」
「千城っていいます」
「ずいぶんハンサム、じゃなかったイケメンね」
「すみませんね」
「あら、颯来君だって……イケてるわよ」
「……間は何スか、その間は……」
「ひひっ……」
『んだよ』とばかりに今度は颯来が肘を返す。
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