第56話
文字数 502文字
「飼ってますよ?」
「え? ああ、外犬ですか?」
ビー玉のような目で杏さんは、僕を見つめた。何を言われているか分からない、というような不思議そうな目だ。
「動物、飼ってますよ?」
不思議そうに首を傾げる。知っているでしょ、とでも言いたげだ。
「鶏さんとチャボさん。あとヤギさんです」
甘かった。ペットと言えば、犬か猫だと思っていた僕が浅はかだった。金網フェンスを建てるという共同作業で出来た仲間意識のせいで忘れていたのだ。杏さんは僕の常識では計れない人だということを。
「この前のジムグリは?」
動揺を隠して、当然のようにきく。杏さんはいつかの蛇を連れて帰ったはずだ。飼っていてもおかしくはない。
「名前を書いて、小川の近くに離しました。また会えるかなーと思って。」
「名前? どうやって書いたの?」
「油性のマジックで、ムグリって書きました」
マジックで?! 蛇は名前を書かれているとき、暴れたりしなかったのだろうか? 疑問がうずまく。
「それで、会えたの……?」
「残念ですが、基本的には臆病な蛇なので、出てきてくれませんね」
「命の恩人なのにね……?」
「そうなんですよ。つれないですよね」
「え? ああ、外犬ですか?」
ビー玉のような目で杏さんは、僕を見つめた。何を言われているか分からない、というような不思議そうな目だ。
「動物、飼ってますよ?」
不思議そうに首を傾げる。知っているでしょ、とでも言いたげだ。
「鶏さんとチャボさん。あとヤギさんです」
甘かった。ペットと言えば、犬か猫だと思っていた僕が浅はかだった。金網フェンスを建てるという共同作業で出来た仲間意識のせいで忘れていたのだ。杏さんは僕の常識では計れない人だということを。
「この前のジムグリは?」
動揺を隠して、当然のようにきく。杏さんはいつかの蛇を連れて帰ったはずだ。飼っていてもおかしくはない。
「名前を書いて、小川の近くに離しました。また会えるかなーと思って。」
「名前? どうやって書いたの?」
「油性のマジックで、ムグリって書きました」
マジックで?! 蛇は名前を書かれているとき、暴れたりしなかったのだろうか? 疑問がうずまく。
「それで、会えたの……?」
「残念ですが、基本的には臆病な蛇なので、出てきてくれませんね」
「命の恩人なのにね……?」
「そうなんですよ。つれないですよね」