第17話
文字数 490文字
「どうぞ、ゆっくり見てください」
杏さんは絵がくずれないようにカップをゆっくりと回し正面から見えるようにして、彼女の方に押し出した。
「杏さんですよね。私、奏 って言います」
「はい」
杏さんは困惑するでもなく、カプチーノに添えられたクッキーを手に取ると、半分にパキッと割って奏さんに差し出した。
「あっ、いえいえ、すみません。いいんです。杏さん、食べてください。皆さんが笑顔になっていたから、どんな絵が描いてあるのかちょっと見たかっただけなんです。自分の席に戻りますから」と、席を立とうとした。
「じゃあ、ここに持ってきたら」
「えっ?」
「奏さんの、飲み物」
杏さんは奏さんが前からの友人だったみたいに笑いかけた。
「私もせっかくのかわいいコーヒーなので、一人で飲むのはもったいないなって。誰かとご一緒したいなあって思っていたところなので、どうぞどうぞ」
杏さんが席をたって、奏さんの荷物を運ぼうとしたので、僕は慌てて奏さんの飲み物を杏さんの席に移した。奏さんは杏さんと僕にお礼を言うと、自分の前に置かれたミックスフレッシュジュースを一口飲んだ。
「美味しいですか?」
杏さんは絵がくずれないようにカップをゆっくりと回し正面から見えるようにして、彼女の方に押し出した。
「杏さんですよね。私、
「はい」
杏さんは困惑するでもなく、カプチーノに添えられたクッキーを手に取ると、半分にパキッと割って奏さんに差し出した。
「あっ、いえいえ、すみません。いいんです。杏さん、食べてください。皆さんが笑顔になっていたから、どんな絵が描いてあるのかちょっと見たかっただけなんです。自分の席に戻りますから」と、席を立とうとした。
「じゃあ、ここに持ってきたら」
「えっ?」
「奏さんの、飲み物」
杏さんは奏さんが前からの友人だったみたいに笑いかけた。
「私もせっかくのかわいいコーヒーなので、一人で飲むのはもったいないなって。誰かとご一緒したいなあって思っていたところなので、どうぞどうぞ」
杏さんが席をたって、奏さんの荷物を運ぼうとしたので、僕は慌てて奏さんの飲み物を杏さんの席に移した。奏さんは杏さんと僕にお礼を言うと、自分の前に置かれたミックスフレッシュジュースを一口飲んだ。
「美味しいですか?」