第51話
文字数 527文字
杏さんは畑に走って戻ると、横倒しになっていた柵をおこして設置し始めた。
「手伝いますよ!」
慌てて、手に持っていた水筒とサンドイッチを手近な木の切り株の上に置いて、杏さんを追いかけた。
杏さんは立ててある支柱に、金網のフェンスを括 り付けて固定しようとしていた。僕が金網のフェンスを支えると、杏さんは一瞬迷ったような顔をしたが、滑り止めの付いた軍手を貸してくれた。
「すみません。助かります。実は一人だとけっこう大変で」
杏さんは申し訳なさそうに言った。
「いえいえ、エスペランサに美味しいお野菜を卸してもらうためですから」
それに杏さんと共同作業、したいですから、と心の中でこっそり付け加える。
杏さんはすでに何枚かのフェンスを一人で取り付けていただけあって金網を支えていてあげるだけで、手際よくワイヤーで支柱にどんどん留めつけていく。
金網の高さは杏さんの身長よりも少し低い位だ。重さもあるので支柱に留めてしまうまでは、かなりグラグラする。杏さんはこれまで一人でどうやってフェンスを設置していたのだろうか。
「そうか……」
「え? 何ですかー? 聞こえませんでした」
杏さんが金網の向こうの端から叫んだ。
「何でもありませーん」
と叫び返す。
「手伝いますよ!」
慌てて、手に持っていた水筒とサンドイッチを手近な木の切り株の上に置いて、杏さんを追いかけた。
杏さんは立ててある支柱に、金網のフェンスを
「すみません。助かります。実は一人だとけっこう大変で」
杏さんは申し訳なさそうに言った。
「いえいえ、エスペランサに美味しいお野菜を卸してもらうためですから」
それに杏さんと共同作業、したいですから、と心の中でこっそり付け加える。
杏さんはすでに何枚かのフェンスを一人で取り付けていただけあって金網を支えていてあげるだけで、手際よくワイヤーで支柱にどんどん留めつけていく。
金網の高さは杏さんの身長よりも少し低い位だ。重さもあるので支柱に留めてしまうまでは、かなりグラグラする。杏さんはこれまで一人でどうやってフェンスを設置していたのだろうか。
「そうか……」
「え? 何ですかー? 聞こえませんでした」
杏さんが金網の向こうの端から叫んだ。
「何でもありませーん」
と叫び返す。