第57話
文字数 502文字
嬉しそうに言う。杏さんはやはり杏さんだ。アハハと笑うと杏さんも笑った。
「杏さん。ランチなくなっちゃって、すみません。今度、埋め合わせしますね」
会話の流れに乗って杏さんに謝った。杏さんは蒔田から電話でランチを持っていかせると聞いていたのだから、お昼の用意をしていなかっただろう。
「いえいえ、大丈夫です。マスター、うちのチャボさんの卵で、卵かけご飯にしませんか? ご飯は朝炊いたのがあるので、すぐに食べられますよ」
「いいんですか?」
「もちろんです。今朝、産みたてですよ」
杏さんはわずかに胸をはった。自分の飼っているチャボが産んだ卵を自慢する杏さんは、なんだか可愛い。
杏さんは卵が五つくらい入っている籠を持ってきて、テーブルの上に置いた。それから二種類の小さな片口の器に、醤油とだしつゆを入れて運んで来た。
「杏さん。材料をいただいて、サラダを作ってもいいですか?」
サンドイッチがなくなってしまったので、せめて、という気持ちで言うと、杏さんはいつもの目を見開いてビックリ! の顔になった。見なれたその顔を見た瞬間、エスペランサのカウンターの中にいるようなリラックスした気持ちになった。
「杏さん。ランチなくなっちゃって、すみません。今度、埋め合わせしますね」
会話の流れに乗って杏さんに謝った。杏さんは蒔田から電話でランチを持っていかせると聞いていたのだから、お昼の用意をしていなかっただろう。
「いえいえ、大丈夫です。マスター、うちのチャボさんの卵で、卵かけご飯にしませんか? ご飯は朝炊いたのがあるので、すぐに食べられますよ」
「いいんですか?」
「もちろんです。今朝、産みたてですよ」
杏さんはわずかに胸をはった。自分の飼っているチャボが産んだ卵を自慢する杏さんは、なんだか可愛い。
杏さんは卵が五つくらい入っている籠を持ってきて、テーブルの上に置いた。それから二種類の小さな片口の器に、醤油とだしつゆを入れて運んで来た。
「杏さん。材料をいただいて、サラダを作ってもいいですか?」
サンドイッチがなくなってしまったので、せめて、という気持ちで言うと、杏さんはいつもの目を見開いてビックリ! の顔になった。見なれたその顔を見た瞬間、エスペランサのカウンターの中にいるようなリラックスした気持ちになった。