第71話
文字数 481文字
杏さんはまた、月曜日と木曜日にエスペランサに来てくれるようになった。
しかし蒔田も月曜日と木曜日にエスペランサに顔を出すようになった。正直言ってうっとうしい。友人とはいえ、蒔田は経営担当で僕は店の運営担当だ。経費削減を要求される訳ではないが、毎週二回ともなると店のチェックされているような気がして、どこか落ちつかない。
それに……。
「杏さーん!」
カランカランとドアベルが鳴ると、蒔田はさっと手を振って挨拶した。
蒔田が顔を見せ始めた頃は、大きく目を見開いていた杏さんも、最近は慣れたのか少しも驚く様子はなく、お辞儀を返している。
蒔田はカウンターのスツールからもう半分降りかけている。しかし先にスツールから滑り降りたのは、渚さんだった。
渚さんに会釈されると、蒔田はどうぞどうぞと手で譲る仕草をした。こういう時、笑顔を添えるのを忘れないのが蒔田らしいと思う。
スツールにさりげなく座り直し、僕と目が合うとニヤッとした。
「俺はすべての女性をリスペクトしてるんだ」
蒔田のポリシーは何度も聞かされているから知っている。だがなかなか実践できる事でもないだろう。
しかし蒔田も月曜日と木曜日にエスペランサに顔を出すようになった。正直言ってうっとうしい。友人とはいえ、蒔田は経営担当で僕は店の運営担当だ。経費削減を要求される訳ではないが、毎週二回ともなると店のチェックされているような気がして、どこか落ちつかない。
それに……。
「杏さーん!」
カランカランとドアベルが鳴ると、蒔田はさっと手を振って挨拶した。
蒔田が顔を見せ始めた頃は、大きく目を見開いていた杏さんも、最近は慣れたのか少しも驚く様子はなく、お辞儀を返している。
蒔田はカウンターのスツールからもう半分降りかけている。しかし先にスツールから滑り降りたのは、渚さんだった。
渚さんに会釈されると、蒔田はどうぞどうぞと手で譲る仕草をした。こういう時、笑顔を添えるのを忘れないのが蒔田らしいと思う。
スツールにさりげなく座り直し、僕と目が合うとニヤッとした。
「俺はすべての女性をリスペクトしてるんだ」
蒔田のポリシーは何度も聞かされているから知っている。だがなかなか実践できる事でもないだろう。