第61話

文字数 560文字

 カリカリベーコンを散らせば、サラダは完成だ。簡単だが、ミニトマトとベーコンのおかげでうま味も出て見た目も楽しい。

 「ホイ、出来上がりー!」

 サラダをテーブルに運ぶ。杏さんはお茶碗にご飯をよそってくれた。
 杏さんと初めて食べる記念すべき食事は、卵かけご飯ということだな、と僕は思う。
 コンコン、と卵をテーブルに打ち付ける。

 「あれっ? 硬い殻だね」

 普通よりも小さい、チャボの卵の殻はなかなか割れなかった。

 「うちのチャボさんは元気ですから、殻も丈夫なんですよ。卵が小さいから、よかったら二つでも三つでもどうぞ」

 杏さんは卵をカツ、カツと割ると、器に割り入れた。杏さんは卵は二つだ。醤油とだしつゆを入れて、箸で回転させるようにしてかき混ぜる。

 「私はお醤油とだしつゆ、両方ちょっとずつ入れるのが好きなんですけど、マスターはお好きなように味付けしてください」

 と、卵を混ぜる手を止めずに言う。
 僕も杏さんを見習って、強めに卵をテーブルに打ち付ける。カッカッ。今度は割れた。鶏の卵とは違って、黄身の色が薄い。しかしぽこんとふくらんでいる。僕も二つ、卵を割る。やはり杏さんを見習って醤油とだしつゆを入れてかき混ぜる。

 白身がぶるんと固まっていたのが、サラサラしてきたところで、暖かいご飯にさっとかける。軽く混ぜて……。

    
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