第15話
文字数 528文字
フォームミルクにピックを使ってすばやく絵を描いていく。蛇騒動の日から毎日、閉店した後に練習した図柄だ。そしてメッセージも描く。
僕の手元をのぞき込んでいたカウンター席に座っている女性客から、わあっという小さな歓声がもれる。常連のお客様は、デザインカプチーノは見慣れているので、スイスイと描いていく様子に見とれることはあっても、いつもなら歓声まではあがらない。
いつもとは違うカウンター席の様子が、テーブル席の女性達の関心も引いたようで、僕の方を振り返って見るお客様の視線を感じる。
小さな木のトレーに、カプチーノと小さなクッキーを乗せて運んで行くと、通路際の席のお客様が首を伸ばして、カプチーノをのぞき込む。カップをのぞいたお客様と0.1秒ずつ視線を交わす。僕はそのたび、「ナイショですよ」と小さく微笑む。
ほんのひとときの秘密の共有をいくつも重ねて、杏さんのテーブルにカプチーノの入ったカップを運んだ。店内の共犯者達は知らん顔をしながら、同時に杏さんをこっそり盗み見ていた。
コトン。
「どうぞ。エスペランサの特製デザインカプチーノです」
テーブルに置かれたカプチーノを見て、杏さんが声にならない声をあげて目を見開き、ビックリ! の顔になった。
僕の手元をのぞき込んでいたカウンター席に座っている女性客から、わあっという小さな歓声がもれる。常連のお客様は、デザインカプチーノは見慣れているので、スイスイと描いていく様子に見とれることはあっても、いつもなら歓声まではあがらない。
いつもとは違うカウンター席の様子が、テーブル席の女性達の関心も引いたようで、僕の方を振り返って見るお客様の視線を感じる。
小さな木のトレーに、カプチーノと小さなクッキーを乗せて運んで行くと、通路際の席のお客様が首を伸ばして、カプチーノをのぞき込む。カップをのぞいたお客様と0.1秒ずつ視線を交わす。僕はそのたび、「ナイショですよ」と小さく微笑む。
ほんのひとときの秘密の共有をいくつも重ねて、杏さんのテーブルにカプチーノの入ったカップを運んだ。店内の共犯者達は知らん顔をしながら、同時に杏さんをこっそり盗み見ていた。
コトン。
「どうぞ。エスペランサの特製デザインカプチーノです」
テーブルに置かれたカプチーノを見て、杏さんが声にならない声をあげて目を見開き、ビックリ! の顔になった。