第88話
文字数 495文字
杏さんは青い箱にかけられた、ピンク色のリボンを引っ張ってほどいていた。テープをはがすと、木の箱が出てきた。杏さんはかぶさった蓋を持ち上げて、横に置いた。
「きゃあ! オカリナだ。どうして?」
杏さんは小さな悲鳴を上げると、箱から中身を取り出した。ころんとした形のちいさな焼きものに丸い穴が並んでいる。オカリナという笛だった。
「紐がついている」
「ネックレスになっているんです。お遊びの楽器だから、そんなに正確な音は出ないらしいですけど、ちゃんと吹けるらしいですよ」
蒔田が説明する。杏さんはオカリナを吹く時のように指で穴をふさいで持つ。
「かわいいですねえ」
「私はオカリナは吹けないし。モーニングファームで杏さんがオカリナを吹けると聞きまして。出張先でたまたまこのネックレスを見つけたので、おみやげです」
「いいんですか?」
「もちろんです。他にオカリナを吹ける知り合いはいないですから、杏さんがもらってくれなかったらこの小さなガチョウさんは迷子になってしまいます」
「小さなガチョウ」
ふふふ、と杏さんは笑った。
「オカリナの名前の由来、よく知っていますね。吹かないのに」
「きゃあ! オカリナだ。どうして?」
杏さんは小さな悲鳴を上げると、箱から中身を取り出した。ころんとした形のちいさな焼きものに丸い穴が並んでいる。オカリナという笛だった。
「紐がついている」
「ネックレスになっているんです。お遊びの楽器だから、そんなに正確な音は出ないらしいですけど、ちゃんと吹けるらしいですよ」
蒔田が説明する。杏さんはオカリナを吹く時のように指で穴をふさいで持つ。
「かわいいですねえ」
「私はオカリナは吹けないし。モーニングファームで杏さんがオカリナを吹けると聞きまして。出張先でたまたまこのネックレスを見つけたので、おみやげです」
「いいんですか?」
「もちろんです。他にオカリナを吹ける知り合いはいないですから、杏さんがもらってくれなかったらこの小さなガチョウさんは迷子になってしまいます」
「小さなガチョウ」
ふふふ、と杏さんは笑った。
「オカリナの名前の由来、よく知っていますね。吹かないのに」