第47話
文字数 536文字
「惣一郎、悪い! 取引先のメーカーの三十周年パーティーに急きょ出席しないといけなくなった。杏さんの所へは行かれない。もう差し入れ作っちゃったか?」
「当たり前だろう。もう十時じゃないか。もっと早く連絡してくれよ」
杏さんのために作ったサンドイッチを恨めしそうに眺めながら言った。自分で言うのもなんだが、ハッキリ言って美味そうだ。いや、間違いなく美味いと自信をもって言える。
「悪かったって。ランチ作ってあるなら、杏さんの所に届けてくれよ。代金は支払うから。なっ。住所は今からスマホに送っておくから。」
「あっ!……あーっと、しょうがないな。分かったよ」
思わず声が弾んでしまったのを、蒔田に気が付かれなかっただろうか? 蒔田は意外にスルドイのだ。
僕がさっき言った最初の「あっ」は、自分で届ければいいんだ! と気づいた「あっ」で、「あーっ」はごまかしの「あーっ」だ。しょうがないな……という雰囲気をにじませたつもりだが、蒔田を誤魔化せたかどうか心許ないところだ。いや、多分バレてるな……。
僕は肩と耳に携帯電話を挟 んで、うわの空で会話を続けながら、エプロンを外した。蒔田との会話をさっさと終わらせ電話を切ると、ガラスのポットに入ったコーヒーを急いで水筒に詰めた。
「当たり前だろう。もう十時じゃないか。もっと早く連絡してくれよ」
杏さんのために作ったサンドイッチを恨めしそうに眺めながら言った。自分で言うのもなんだが、ハッキリ言って美味そうだ。いや、間違いなく美味いと自信をもって言える。
「悪かったって。ランチ作ってあるなら、杏さんの所に届けてくれよ。代金は支払うから。なっ。住所は今からスマホに送っておくから。」
「あっ!……あーっと、しょうがないな。分かったよ」
思わず声が弾んでしまったのを、蒔田に気が付かれなかっただろうか? 蒔田は意外にスルドイのだ。
僕がさっき言った最初の「あっ」は、自分で届ければいいんだ! と気づいた「あっ」で、「あーっ」はごまかしの「あーっ」だ。しょうがないな……という雰囲気をにじませたつもりだが、蒔田を誤魔化せたかどうか心許ないところだ。いや、多分バレてるな……。
僕は肩と耳に携帯電話を