第97話

文字数 171文字

 拍手に背中を押されるようにして、杏さんはそっと立ち上がった。
 僕は店内のBGMを消した。

「じゃあ少しだけ、すみません」

 杏さんはおそらくいないだろうと思われるが、いるかもしれない聴きたくない人に謝り、「優しさに包まれたなら」という曲を丁寧に吹いた。素朴な笛の音がエスペランサに響いた。
 蒔田は僕が見たことのない顔で、笛の音に耳を傾けていた。
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