そんな密やかな記憶が欲しいだけ
文字数 209文字
鋼鉄のような意識が頻繁に迫ってくる
苦しみの実態が…
彼方の幻想が
荒れ狂う嵐が
すれ違う風が
わたしを支配する
誰かの声だと思っていたのが
実は己の声だったことを知り
現実を締め付けた
「 あんただけはそのままでいて 」
いつか誰かの呟いた言葉
あれはまだ子供の頃
懐かしい思い出なんてあるわけないと思っていた自分が
錆びついた脳みそを縛りつける
ただ手を引いて欲しいだけ
ただ優しく名前を読んで欲しいだけ
そんな密やかな記憶が欲しいだけ
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