少年の彼方に

文字数 404文字

雲空に響く心音が
  貴方の声だと誰が思うだろう

共に世の中を渡り合おうと誓言した
  過去の二人は確かに存在したんだ

遥か彼方の鼓動が懐かしく思えて
  縷々と流れる涙

ああ確かに貴方は存在していたんだ

 笑顔する幼い貴方が
いつか旅立つ日が来るのだと
知っていれば こんなには愛さなかった

 記憶を辿ると
いつか別離することは必然だったのに

 最果ての最果てで
 暗闇の暗闇で
 混沌の混沌で
待っていてくれはしないだろうか

 それとも貴方は
まるで太陽のような人だから
 私のような薄明な命には疎いかもしれない

ふりしきる雪が髪の毛を白くさせるように
 年月が過ぎれば
 すっかり自意も変化してしまうのだろうか

それとも貴方は心 問うだろうか
 まるで水面に映る影のような身体に問うだろうか
 知らぬとはっきりと声にするだろうか

少年の貴方は
今は彼方を見る望遠鏡の中に
垣間見るだけ

 関愛色の黒い泥の中に
 爪を突き立てる

  そんな私を許してくれるだろうか

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