さよなら君へ

文字数 391文字

君へ

君へ最後の言葉を伝えることを許してほしい
別れなんて出会った時から考えていたんだ

ねぇ
どうか僕の後を追うなんて言い出さないでくれ

愛しているなんて言わなかったのは
自分が君の十字架になりたくなかったからさ
だから最後まで言うつもりはない

出会った頃
そう出会った頃
君はまだ瞳をキラキラさせた幼稚園児のような奴だった

ディーン
君はまだ望むのかい?
僕にあの広大な平地を見せておきながら
まだ海原を望むのかい?

これから君は一人ぼっちで生きていかないと嘆くかもしれない
でもそんなことはないんだよ
僕は君の水となり空となり地となり君を守るつもりさ

ディーン
それをどうか許しておくれ

明日にはもう黄昏が目に染みて涙がこぼれるかもしれない

血のような赤い空
見つめながら
情けない僕のことを思い出してくれていい

君にとって長い長い苦痛だった過去たちが
きっと君を助けてくれる

僕はたいした奴じゃないって思える日は
そう遠くはないさ





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