死の病

文字数 317文字

夜明けを走る列車よ
あの光の束を見て
君はどのように思うのか

旅が抒情的になるのか悲観的になるのか
左右するのは
いつだって君の命にかかっている

ごみくずみたいな今だって
かろうじて生存している姿に違いない

朝には形が崩れて
それらは見ることもはばかれる死んだ蛾のように
私はでも注がれる意識を知っている

気は確かかい?

君はそういうかもしれないね
しかしいつだって死は残酷だけど美しい
美しい命の瞬きの瞬間だって思うんだ

着崩したシャツが汗でへばりついて
思いっきりこの場で脱ぎたいというのと同じで
僕はそんな風に
貸切の車両に乗ってるみたいに生きている

近寄らないでくれたまえ

僕は明日死ぬのかもしれないのだ

いつだって隣あわせで死神が潜んでいる
震える真実が僕を死体にする



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