杜鵑草(ほととぎす)

文字数 304文字

君との指に絡まった糸が、いつだったか途切れてしまった。
メッセージも電話もなくて寂しい夜が続いた時、
暗がりの中から浮かんできたのは君の笑顔だった。

「アレからどうしてる?」

その言葉すら言えない現実に僕は歯が軋む思いをして
今日もスマホを枕の下に隠す。

君の好きな花は杜鵑草だったね。
秋に野山を巡ったこと覚えてる?
僕は写真で君を撮るのに精一杯だったけど
撮った中に一枚だけ杜鵑草と君の写ったものが残っていた。

それはまるで蝶のような鳥のような花だった。
君の笑顔のようだった。
勇気を持って誓うことができたなら、
このセリフを花と共に送ってみよう。

「僕はずっと君が好きだ。これからもずっと」
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