暗闇

文字数 326文字

 大島優斗は言った。
 「君は本当の暗闇を知っているかい?」
 私は笑ったと思う。
 「何それ?なんかのセリフとか?」

 大島優斗は答えた。
 「暗闇を味わう方法を言っているんだ」
 私は「はあ?」っと、返した。

 大島優斗は笑いながら答えた。
 「暗闇を暗闇として捉えるのには光が必要なんだ。だから遠くに見える穴から光が煌々と、さしていなくてはならない」
 「なるほどね。で、いったい、何が言いたいの?」

 「わからない?」
 「わからないわ」

 「その光が君のことなんだよ?」



 大島優斗のことは忘れない。彼とは別れてしまったけれど今でも忘れない。私の原風景としていつまでも残っているのだから。
 あの笑顔、仕草、匂い、全てが思い出とともに輝いている。

 永遠の私の光となった。


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