カフェオレの朝想うこと

文字数 334文字

 朝は熱いカフェオレと決めている。
慌ただしい時間と時間の隙間で、(すす)るのだ。

 鏡には、あなたが着替える姿が見える。
私にとってそれは映画の中の一コマだった。

 ずっと話題が尽きなくて、それが一生変わらないなんて
勘違いしていたあの頃が懐かしい。

 朝も昼も夜も愛し合って、飽きることなんてなかった。
貪欲に相手をむさぼって強引に感情をぶつけていた。

 若いことは嫌いじゃない。
でももうあの頃に戻れないんだと思うと
どこかほっとする。

 あなたも私も変化してミジンコみたいになって生きている。
もう「愛してる」なんていうのもナンセンスなくらい。

 それでもあの影は何ひとつ変わらないで私の目の前にある。

 追いかけようか、いいや、ただ浅い川のように流れていくこの世界が
もはや私を慰めているのだ。





ワンクリックで応援できます。
(ログインが必要です)

登場人物紹介

登場人物はありません

ビューワー設定

文字サイズ
  • 特大
背景色
  • 生成り
  • 水色
フォント
  • 明朝
  • ゴシック
組み方向
  • 横組み
  • 縦組み