幻の女

文字数 238文字

藍色の気持ちが僕の背中を通過していく
あの(ひと)は遠ざかっていく幻だったのか

人々の群れに
いつになく活気を覚え
しかしすぐに浮き 沈むように黄昏れる

あの女はここの誰よりも美しかっただろうか

夜迷(よま)いごと繰り返し
しっかりと歩くことのできない
ふらふらなこの躰を支えてくれたのは
紛れもない あの女だった

息を切らして通過していく列車が
僕の意識を吹き飛ばすように流れていく

いやしかし あの女は幻だったのか
誰も答えの知らない真実が
僕の心を迷わせる

「明日に残れ」と あの女は最後にいった
それも幻だったのか


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