月下美人

文字数 425文字

挨拶も無しに君は姿を表す
僕はじっと見守って
君が誕生してくるのを
ただひっそりと待っているだけ

月の下で浮かぶ影
夢現(ゆめうつつ)
語らうこともなく
皆が皆静かに声を出さない

この世には堪えなくてはならない出来事が多すぎて
見栄を張らなきゃ生きていけない瞬間もある
その中でなに一つ変わらぬ君が羨ましいんだ

白い白い真っ白な花が
ほら 咲くよ
今生まれて
明日には無くなる
いかに短くとも
いかに辛くとも
君は鮮やかな色彩で
僕らの前へやってくる

連れて行ってほしいと
あの月に願ってみても
叶うはずもなく


君は幸せですか?
誰かを愛していますか?
愛がわかりますか?
弱々しい虹のようで
猛々しい山脈のような
この儚い しかし摩訶不思議な世界の住人は
魂さえも凌駕して
ほら消え入りそうで続くよ
心の中に育つよ

僕の輝きを捨ててもいい
君に全てあげるから
命も全て捧げるから
いつまでも側にいて咲き誇っておくれ
甘いプリズムのように

<了>

*あけましておめでとうございます。
今年も月光読書をよろしくお願い致します。 水瀬そらまめ

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