魂の行方

文字数 384文字

それは真夜中
  満月の

霊令な君の魂が
  真っ黒な湖に埋まってる

僕はよろよろと歩きながら湖に近づく

君は僕に声をかける

僕はよろよろと全てをなくした顔つきで
  君の待っている場所へ辿り着く

気がついたら風の音もなく
  暗闇の中でしゃがみ込み泣いていた

風が涙をさらっていく

君がこの世にいないなんて
  まだ思えなかった

君の言葉はまるで尖った刃物みたいで
  僕は恐ろしくなって
   とうとう逃げ出したんだ

僕はごめんとだけ言って
  君を放り出した

君がこの世にいないなんて
  信じられないんだ

雨が降ってきた
  後悔の二文字が心に巣食っている

シャツが濡れて肌に吸い付く
  もがき苦しむ僕がいる

君の声はもうしない

月夜の儀式はいつまでも続く
さよならを言わせてくれなかった君
愛していると言えなかった僕

月夜の儀式は静寂の中にある
いつまでも涙が溢れて湖に沈んでいく

  魂の行き場は見つかっただろうか


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