昼間の雨が慈しみ深く

文字数 333文字

紺碧の空に
 貴方の顔が浮かぶ
いつだったか見せてくれた笑顔

そばにきて見つめてくれた貴方は
 もうどこにもいないけれど
悲しみにくれる時
 慰めてくれるのは同じ

いつも
 大丈夫と強がっても
貴方の前にやってくると
 隠しごとはできなかった

もうあの思い出も
 長い年月を経て
色褪せて見える

 天が山が海が大地が全て
墨色に変化して最後の言葉が宙に浮かぶ

 今更
あの時はごめんなさいと謝罪をしても風がさらっていく

 最後の挨拶さえ許されなかった恨みは消えず

 「ありがとう」を言わせて欲しかった

 こうして後悔を
未来へと繋げて生きている

 私は見上げた先に言う
繰り返し
繰り返す

 コウシガラノ感情を点滅させて
この街を歩く
雨の街を歩く

 瞼が微かに痙攣する

 腕を上げて「抱いて」と
そこへ連れて行ってと願うのだ

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