不思議な少年

文字数 225文字

その少年には名前がない
いつだって砦の崖っぷちに立って夕日を見ている
愛してるって言っても本気にしてもらえない

私は確かにその少年を愛している
そっぽを向いて微笑む姿
髪の毛はクリーム色で黒でも白でもない
大きな黒い瞳
ふっくらとした唇は真っ赤なのだ
血色のいい肌
笑っているのか泣いているのかわからない切ない佇まい

ああ 君よ
 離れていかないで
一生共に過ごしたいのだ

夕日が来るとあの崖に行き
君の登場を待つのだ

その少年には名前などない
あるのは大自然と同化してしまう姿のみ



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