第96話

文字数 2,827文字


源三郎江戸日記(弟三部)96

金沢の港に着き上陸すると銭屋が迎えに来ています、江戸ではなかったのかと言うと、金沢が本店ですほとんどこちらにいるのですよと言って、私の家にご逗留くだされと言うので、諸国、
巡察なれば旅籠に泊まるのが一番良いのじあと言うと、それでは案内しますと城下に行き旅籠に案内したのです、湯にお入りくだされ巡察が終わりましたら、料理屋に案内しますと言うと、
銭屋は帰っていつたのです、

湯に入って一服して、町に巡察に出掛けたのです、さすが加賀100万石の城下町です、前田利長公が京都より持ち込まれた、花鳥風月の店が沢山あり賑わっています、一軒の蒔絵の品がある、
店に入ると、重箱、化粧箱、などの蒔絵を施した品が沢山あります、みごとな金細工じあなと言うと、番頭が金沢の金細工は繊細であでやかな物が多いのですよ、すでに京の都を追い越し、
ていますと言ったのです、

ここは藩士の数も多いので沢山商いがあるのじあろうというと、ハイ、この重箱等は良く出ておりますと言うので、加工場もあるのかと聞くと、ハイ、奥の建物が加工場になっていますと、
言うので、見せて貰う事にして中に入ると、金の粒を伸ばしている場所があり見ていると、番頭がこの大豆の大きさがこの大きな一枚の金の板になるのですと言うので、なる程大した技術、
だなと感心すると、

京都の金閣寺もこうやって出来た物を貼り付けています、南蛮人は総て金で出来ていると思い、驚いたのだそうです、又室町幕府の3代将軍、足利義満公は明から大量の銅銭を輸入する必要、
があり、それは我が国では良質の銅銭が作れなかったので輸入するしかなかったのです、交易を有利にしょうと明の使者に我が国が金が沢山ある国だと思わせる為に作ったのだそうで塗る、
より貼り付けた方が安上がりと言う事ですと言ったのです、

その技術が蒔絵に発展したのじあな、それにこの重箱は角が落としてある、こうすると見栄えもよくなるな、中々の工夫じあ、江戸に持っていれば大名が喜ぶであろうと言うと、陸路は、
京、大阪が近いのですが、江戸は遠いので運ぶのに運賃がかさみますと言ったのです、ここから蝦夷周りで東航路をいけば3日で江戸に運べる、金沢の海産物も一緒に運べは運賃を安くな、
るだろうと言うと、

そんなに早くはいけませんよ、船で行っても6日はかかります、海産物は傷みますので無理だと思いますがと言うので、それが可能な方法があるのじあよ、蒔絵、輪島塗などの漆器も良い、
なと言うと、お武家様はと聞くので、諸国巡察視の村上源三郎じあ、巡察した場所を豊かにするのも役目じあ、そのせつは助力してくれと言うと、ハイ、なんなりとお申し付けくだされ、
ませと言ったのです、

他に特産はあるのか聞くと、支藩である前田利次様の富山では薬草が沢山取れるそうです、前田利治様の大聖寺藩の九谷村では良質の陶石があるそうで、これがそこで焼いている壷ですと、
見せるので、中々の物じあな、これに蒔絵と同じように色がつけられれば良い陶磁器になるじあろうというと、両藩とも台所は大変なようで、とても投資できる状態ではないですよと言っ、
たのです、

そうか投資する金寸さえあれば、支藩も裕福になる特産は作れる訳じあな良い事を教えてくれた、利常公に話しをしてみょうと言って、この店は色々扱っているようじあなと言うと、ハイ、
主人のご先祖は京都から来たそうで、京都、大阪にも出店があり加賀の物産を商いしています、加賀屋新座衛門と言います、今日あたり京から帰ってくる予定ですと言ったのです、そうか、
後で呼ぶとしょうと言って店を出たのです、

お鶴がその土地ならでの物産は色々あるのですねと言うので、地の利からして裏日本の商いは大阪、京になるのじあよ、江戸へは陸路は難所が多く遠いからのう、やはり東周りの航路で早、
く江戸にいければ沢山の特産が運べると言う事じあよと言うと、お玉が船で早くいければ物の行き来が多くなり、特に100万以上の人がいる江戸での商いで台所が潤うわけですねと言った、
のです、

悪人がいれば軍資金を稼げるのじあがと言って居酒屋に入り杯を傾けると、お玉がいますかねと言うので、ここは神社仏閣が多くて町方の手が入りにくいので、悪徳坊主がきっといるよと、
言って、妙立寺は幕府が、攻めてきたときの砦として利常公が建てられたのだそうだ、中には色んな仕掛けがしてあると聞く、住職は別として力を持った、坊主がいるのじあろうと言うと、
飛猿が傍に来て、

お探しの悪人はいますよ、まずは女郎屋をやっているヤシの元締め弥平次と言うのがいまして、裏で高利貸しと博打場をやっています、イカサマに誘い込み金を巻き上げて、あくどく稼い、
でいます、高利で金を貸して返せなくなると、女郎屋で働かせているそうです、博打場は妙立寺の別棟でやっており、ここの高僧顕心がつるんでいます、坊主のくせに3人のめかけをもって、
おり、

それぞれ料理屋をやらせています、妙立寺は前田家の祈祷所になっており寺社奉行も手が出せないそうですというので、なる程隠れ蓑には丁度良いわけじあなと言うと、この寺が厄介です、
色んな仕掛けがあり、別棟に行くには簡単ですが、出るときに出口を塞がれると、本堂を通ることになり多くの隠し通路と、落とし穴等があるそうで、きわめて難しいです、坊主が仕掛け、
を動かす恐れがありますと言うので、

中には坊主しかおらんだろう、わしと飛猿、才蔵が博打場に入り戸場荒らしをやろう、出口を塞がれたら、本堂をとおり仕掛けをことごとく潰せば砦としての機能を失う、今の時期に砦は、
不要じあからな、お玉達は外でまっておれ、危ないときは炸裂弾を爆発させるので、門を打ち破り全員で突入して叩き潰してくれ、内と外から殲滅するぞと言うと、承知と言うので、才蔵、
に山形達を迎えにいかせたのです、

集まったので、段取りを話して妙立寺に行き、お玉達は前にある蕎麦屋で待機させて通用門から入ると、見張りがいるので50両見せて博打場に案内するように言うと、こちらにと案内した、
ので、廊下を通り別棟に行き木札にかえて席に座り、飛猿、才蔵に10両づつ渡したのです、まずは、半からだと半に20両掛けると、二人も半に掛けたのです、壷をめくると半です、続けて、
半らかけると半です、

これで全部で160両になります、それを総て半にかけるとまたもや半です、これで320両になり金に変えるように言うと、胴元が指しの勝負と言うので金はあるのかと聞くと小判320両を出す、
ので、よしと言って320両分の木札を出して、盆を改めるぞと言って盆をめくると白い布の下に小太刀を突き刺すと、ぐわ~と声がしたので、なんだ下に人がいるではないかと畳みをひっく、
り返すと男が肩から血を流してうずくまっています、

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