第48話

文字数 2,963文字


源三郎江戸日記(弟三部)48

それでは話が決まったところで、美濃屋と声をかけて居酒屋に行き、今日はご苦労であった、主人みずから運んで来てくれたのじあなと言って杯を傾けると、村上様のお言いつけなら、
江戸にだって飛んでいきます、親父と姉の不始末でお店は取り潰しになる所を金を残してくださり、家業を続けさしてもらいました、今回勘定奉行様がご家老におなりになり、従来通、
り大垣藩への出入りも許して下さりました、

総て村上様のお陰です、私の命の恩人ですと言うので、そうか、これで美濃屋も代々繁栄するじあろう、そなたの姉は寺に入っているだろうが、不自由なく暮せるようにしてやれ、まだ、
若いので、他に嫁に行きたければ還俗して嫁に行ってもよいと言うていたと家老に申し伝えよと言うと、有難う御座います、姉もとりついたキツネが取れたようです、いたく反省してお、
りますと言ったのです、

これは才蔵様が渡された為替手形です、料金は小松屋さんから頂きますのでお返しいたしますと言うので受け取り、この小判は次期将軍におなりになる綱豊様からいただいたものじあ、
葵の刻印が入っている珍しいものじあ、これを今回の褒美にやろうと渡すと、そんな貴重なものをと言うので、良いのじあよと言うと、有難うございます、我が家の宝にします、程先、
の料理は、

作り方を三平さんに書いて送ってもらい、美濃でもはやらせますと言うので、そうか、三平後で書いて飛脚便で美濃屋に送ってやれと言うと、ヘイ、小松屋さんにも送りますといった、
のです、美濃屋がこれで失礼します、道中お気をつけてくださいませと言うと、番頭達を連れて帰っていったのです、さて我々も出掛けるかと言うと、馬に乗り行けるところまで行く、
ぞと言って、

宿場を出ると出口まで、小松屋達油の小売屋がみんなで見送り、見えなくなるまで手を振っていたのです、小松屋がさて商売に移りましょうと言うと、みんながやりましょうと言うと、
店に戻り、いくらでも安い油がありますよと声をかけると、大勢が買いに来たのですが、近江屋には誰も買いに行かないのです、番頭がなんでもこれからは10日事に荷が入るそうです、
仕入れねも今までとかわらないそうですと言うので、

そんな事やればわしは、大損するではないかと言うと、このままではここには誰も買いにこずに店、は潰れますと言ったのです、仕方ない前の値段でよいと言うて来いと言うと番頭が、
小売の元締め小松屋に話をしに行くと、違う取引先と約定したので、いまさら近江屋から買うわけにはいかんと皆で取り決めたばかりじあよと追い返えされたので、他の小売を回ると、
みんなが取引をしないと言ったのです、

店に戻り主人に言うと、仕方ない、小売をするしかない、皆でお客を呼び込めというので、家人そろって声をかけましたが、口々に業突く張りと、言われて誰も、買わなかったのです、
番頭が小松屋に詫びを入れたほうが良いですよと言うので、近江屋がしかたないと小松屋に出向くと奥に通されて、なんとか前の値段でいれてくれないかと頭を畳みにすりつけるので、

それでは今回の迷惑料として小売屋皆に10樽づつたたで渡す事、今後は勝手な値上げはしないと約定書を書く事、小松屋が降ろしをやる事を邪魔しない事、この条件を飲まない限り、
近江屋からは小売屋は全員仕入れはしないと言ったのです、わかった条件を飲むと言って約定書を書き爪印を押したのです、それでは今日寄り合いを開いてみんなに聞いてみますと、
約定書を受取ると、近江屋は宜しく頼みますと言うと帰っていったのです、

小松屋の番頭が旦那様上手くいきましたねと言うので、これも村上様のおかげだよ、本当に幕府の役人とは思えない、慈悲深いお方だな、これからは我々も悪には立ち向かわなければ、
ならんなと言うと、ハイ、町衆が買うてくれるので商いは成り立つのですねと言ったのです、源三郎達は中山道を進んで行き近江八幡まで来ましたが街道筋はいたって平穏で先に飛猿、
と才蔵が探索していましたが、

特に悪人はいないようです、もう少しで草津だな着くころに日が沈むじあろうと言って進むと、宿場の少し前で日が沈んだのです、宿場に入り旅籠にわらじを脱ぐと、女将が部屋に、
案内して、よくおいでくださりました、この旅籠には沢山の温泉があります、まずは温泉に入って来てくださいというので、温泉に行くと色んな種類の温泉があのます、ゆっくり、
汗を流して上がってくると、

お玉はまだ上がって来ていません、上がり酒を飲み夕餉をまっていると、お玉が長湯をしてしまいました、肌はつるつるですと喜んでいたのです、夕餉が運ばれてきたので見ると猪汁、
に岩魚の塩焼き、山菜のテンプラ、漬物です、杯を重ねて猪に肉を食べると、コリコリしてとても美味いので、皆が喜んだのです、夕餉が終わり飛猿が入って来て、いたって平穏で、
代官もヤシの元締めも悪い者はいないようですと言うので、

女郎屋の桔梗屋は誰がやっているのじあと聞くと、桔梗屋と言うのはありませんがと言うので、そうか、源蔵は誰かに売ったのじあなと言うと、新しい女郎屋で播磨屋と言うのがあり、
まして、半年前までは違う名前で名主がやっていたそうですが、半蔵と言うものが10人の者を連れてこの宿場にきて、名主から買い取ったそうです、なんでも播磨から来たそうで、
名前を播磨屋に変えてやっているそうですと言うので、

悪い事はやっていないのかと聞くと、ハイ、名主から引き継いだ女郎はみんな借金は無いそうで、いつでも店はやめられるそうですが、誰もやめなかったそうですと言うので、博打場、
はと聞くと、草津屋がやっているそうで、賭場の貸し借りはしないそうで、イカサマはやらないそうですと言うので、そうか、もういいぞ遊んで来いと言うと、ハイ、何かあれば知ら、
せますと部屋を出て行ったのです、

お玉が草津屋を知っているのですかと聞くので、高鍋藩の隠し目付けの時に、参勤交代の先導役で立ち寄った事がある、草津屋は相模屋がやっている店じあよ、桔梗屋は源蔵がやって、
いた女郎屋じあと言うと、あのムササビの時ですねと言うので、そうじあよ、草津屋の金蔵から見事に8000両を盗みだした、桔梗屋から草津屋の金蔵の下まで穴を掘り盗み出した訳、
じあよ、

多分穴は塞いだはずじあが、まさかその播磨屋はそれを知っていて、草津屋を狙っている盗人ではないだろうな、後で調べてみょうと言ったのです、草津屋はその穴の事は知っている、
のですかと聞くので、知らないはずじあ、知っているのはムササビの一味数人とわしとお峰だけじあと言うと、ああ、お峰殿との高鍋までの旅でしたねと言うので、知っているのかと、
聞くと、

旅に出る前に源蔵殿の事も聞きましたと言うので、そうか、あの穴の事を知っている者が配下から抜けたとは聞いていないが、盗人だとしても普通の盗人には出来ぬ事じあよ、元でが掛、
かるわけじあ、道中籠から三蔵がくれた手配書をめくって、捕まっていない大物はと探すと、春風の達吉か中山道、山陽道で総計8000両は盗んでいる、手口は風の如く押入り風の如く消、
えるか、

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