第66話

文字数 2,935文字


源三郎江戸日記(弟三部)66

捕らえようとしたら歯向かったのでやむなく切りすてたので御座るが、そのとき掘割に落ちて、行方がわからなくなったので御座る、この責めは拙者にあります、責任を取り腹を切り申、
すので薩摩藩へは寛大なご処置をと言うので、そうでござったか、それなら総ての阿片は海に投棄なされ、切腹はしてはなりませぬ、この改革が出来るのは、小松殿しかおられぬでしょ、
う、この事はそれがしの胸にとどめおき決して口外いたしませぬ、

町方も動いている事です速やかに処置しなされと言うと、かたじけない、明日は総て海に投棄します、まだ蔵屋敷においてありほんの少しです、お会いできてよろしゅう御座った、危う、
く藩を取り潰され悪をやるところで御座ったと言うので、せつぱつまられたのでしょう、これで、全うな財政改革が出来ますなと笑ったのです、それでは、玄海屋も別室で待っており、
ますと部屋に連れて行き、

小松殿が了承なされた七衛門後は宜しく頼むぞと言うと、小松様まかせてくださりませと言うと、小松が助力かたじけない宜しくたのむぞというので、それでは話が決まったところでと、
再び杯を重ねたのです、小松がしかし一夜にして総てが解決するとは、女将、この村上殿の頭はどうなっているのかのうと言うと、頭の中に沢山のソロバンが入っているそうで御座りま、
すと言うので、

なる程、寸部もちがわぬ計算が出来る訳か、わしも、ソロバンは出来るが、頭でははじけぬなと酒を飲み干すので、みなが大笑いしたのです、暫く歓談するとそれでは色々と準備が御座、
るのでと言うと、小松は帰っていったのです、飛猿と呼ぶと部屋に入って来たので阿片はやはり薩摩藩であった、外には出ておらぬようじあ、明日総て廃棄すると言うていたが、確認、
してくれと言うと、

七衛門が船を使ってくだされと言うので、船で後をつけますといので、近づくなと言うとハイ、千石船ならば西国に向かうと思うはずですと言うので、才蔵にも探索はおわりじあ、大隅、
屋の蔵には南蛮品はあつても阿片はないじあろうと言ったのです、小松が蔵屋敷に戻ると、市来が諸国巡察視が何か嗅ぎつけたのですかと聞くので、すべは見通しているみたいじあと、
言うので、

それでは始末しますかと言うので、よしておけお前の敵う相手ではない、奴は相当の手錬だ隙はまったくなかった、それに我が藩を潰しに来たのではない、助力する為にわしに会うたの、
じあ、市来があの松蔵は幕府の隠密なので片付けましたが、新陰流の左袈裟きりにしたので切り口からは、わからぬはずですがと言うと、そなたは示現流が本流であろう、それを隠す為、
に心陰流を江戸で学んだのであろう、

奴は示現流の切り口と人の話から割り出したのじあよ、それをみてもよっぽどの剣客と言う事じあ、阿片はやめにする、良い方法を指南してくれたので、阿片の儲けなど頼りにしなくて、
も大丈夫じあ、絶対に手を出してはならぬと言うと、承知しました、しかし、一度立ち会ってみたいものですと言うので、そなたは隠し目付けであろう、目立つ動きはならぬと言ったの、
です、

市来が幕府の隠密は自分を阿片中毒にしてまでも、探索するのですから恐れ入りますよと言うと、おそらく、中毒をなくする為の修練もしているのじあろう、あやうく騙されて、幕府に、
知れるところであった、阿片は水にとけるから、持ち出した阿片は堀川の水に溶けたのであろう、明日は御用船に乗せて大阪湾で投棄するのだと言うと、承知と言うと部屋を離れたの、
です、

後は寛永通宝の偽金じあが、これはわからんじあろうと言ったのです、しかし、証文を取り上げて利息を半分にするとは、中々の策じあわい頭の良い奴じあな、あのような者が我が藩、
におれば、こんなに、苦労せんでも良いのじあがと呟いたのです、翌日は小松が御用船への阿片積込み確認し、市来に必ず投棄するのじあぞと念をおしたのです、御用船は帆を上げて、
大阪湾の出口に進んで行き、

後を追うように飛猿のに乗った玄海屋の船が着いていき、遠眼鏡で監視したのです、一向に投棄する様子はなく、大阪湾の出口に来たとき船は進路を変えて紀伊水道を和歌山に向かった、
のです、飛猿は引き返えして上陸し源三郎に奴は大阪湾では投棄せずそのまま江戸に向かいましたと言うので、やつぱりそうか、江戸でさばくつもりじあなと言うと、お玉が小松の指示、
ですかねと言うので、

わからぬがともかく我々も江戸に向かおう、こちらの船が先に着くので降りるところを監視していれば、何処に運ぶかわかるじあろうと言って、支度をして桟橋に向かい、桟橋を歩いて、
馬を船に乗せて甲板に作った馬小屋にいれたのです、七衛門が出航しろと言うと、船頭が帆を張れと言って帆を張ると白波をけたたて大阪湾を進んで行き出口で紀伊水道に向かったので、
す、

七衛門が江戸を出るときに深川のはずれの海側に、おなじように桟橋を作るように言うておきましたので、もう出来ているはずです、深川の外れに上陸できますと言うので、それは凄い、
船手組みは何か言うていなかたかと聞くと、隅田川の河口には番屋があるので、問題ないと言うていました、他の船も利用できるようにすると言いましたら、幕府の御用船もそこから、
荷揚げしたいと言いましたので、

了承したら喜んでいました、小船に乗せ変えると何回も船との往復が必要ですからねと言ったのです、和歌山にさしかかると風向きが斜め前に変わったので帆を調整して前に進んでいくと、
薩摩の御用船が港の直ぐ傍に停止しています、どうやら風待ちをしているみたいです、沖を通り過ぎ紀伊半島を回り北北東に向かったのです、やがて太陽は西に沈んで行き空には星が見え、
始めたので、

座礁を防ぐ為少し沖に行き北上したのです、周りは黒い海で何も見えません、二日で深川の桟橋に着き馬とともに上陸したのです、馬も元気で船酔いはしていないようなので、これで船で、
運べることがわかった、高鍋藩の馬も上方、江戸で商いできるなと言うと、七衛門が意外とおとなしく乗っていましたので驚きましたと言うので、嵐でなければ大丈夫じあろう、馬は船酔、
いに強いのかもしれんと笑ったのです、

根岸の小者茂助が向かえに来ていたので、疾風と春風を預けて根岸に連れて行くように頼み、山形達には馬で永代橋を渡り上杉上屋敷に戻るように言って、わしとお玉は川船で桜田門に行、
く先につくので待っているぞと言って、川舟に乗り換えて隅田川をさかのぼり、日本橋から内堀に入り桜田門の船着場でおりて、上杉藩上屋敷に入ったのです、次席家老が出迎えてお戻り、
なされませ、

お玉の方様次席家老の高木に御座いますと言うと、玉じあ宜しく頼むぞと言ったのです、高木が役宅に案内します、腰元2人に女中と小者を用意しましたと言って役宅に案内したのです、
足をすすぎ部屋に入ると、腰元2人が、咲に雪に御座いますと言うので、お玉が宜しくなと言うと、お玉は台所に向かったのです、高木が決裁書類は御用部屋に置いてありますと言うの、
で後で見るぞと言うと、

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