第26話

文字数 2,590文字


源三郎江戸日記(弟三部)26

飛猿が襲い掛かり肩を打たれて転がつたのです、わしは諸国巡察視の村上源三郎じあ、不正が発覚したので闇討ちしょうとは、卑怯な奴め全員斬首にすると言うと、くそ~とわめくので、
刀を抜き上段から切り下ると顔をかすめて腰帯がスパ~ッと切れ、勘定奉行はぐわ~と言うと前にバタンと倒れたのです、ほかの者も真っ青な顔をしてうめいていたのです、町奉行が、
取り方をつれて傍に来て、

狼藉の数々申し訳ありませぬというので、小型の矢なれば命には別状ない、引き抜いてやれ、全員捕縛して奉行所に引っ立てろというと、ハツと言うて全員矢を抜き、捕縛しろと言うと、
全員が後ろ手に縛られ奉行所に引き立てられたので、奉行所に行き白州に座らせて、ここに、そなた達の不正を調べた証拠がある、これに相違ないかと言うと、勘定奉行が恐れ入りまし、
た間違いありませぬと言うので、

それに加担していたのは金森屋じあなと聞くと、ハイ、間違いありませぬと言うので、奉行金森屋を召し取ってまいれ、尚蔵にある不正に取得した金寸は総て押収してここに持ってきな、
され、又勘定奉行の屋敷に行き、横領した金寸も総て押収して持って来なされと言うと、ハツと言うと者共行くぞと言うと、取り方を連れて出て行ったのです、勘定奉行横領した金寸は、
何に使こうたのじあと言うと、

重役への賂と仲間の遊興に御座いますと言うので、目こぼし料か、そのような事をするから藩財政が傾くのじあと言うと、申し訳ありませぬと言うので、命だけは助けてやる、怪我して、
いない者は立つのだと言うと、5人が立ちあがったので、縄を解けというと役人が縄を解いたので、これより役人と一緒に旅籠の信濃屋に行き浜崎伝八朗、久喜伸介、戸田定正を捕縛し、
まいれ、

罪状は諸国巡察視の暗殺容疑じあ、間部の名前を出すだろうが、無視して捕縛して来いと言って、捕縛してきたら罪一等は許してやると言うと、ハッと言うと奉行所を出て行ったのです、
先手必勝じあからなと言うと、お玉がばかな奴らですねと言ったのです、奉行が帰って来て、金森屋を捕縛しましたと言うので白州に座らせたのです、勘定奉行の屋敷に3000両、金森屋、
の蔵に8千両がありましたと言うので、

これは総て没収すると言って、金森屋何かいいわけする事はあるかと聞くと、何も御座りません、命だけはお助けくださいと言うので、奉行国家老を呼んで来てくれと言うと、今向かっ、
ておりますと言うと、駆けつけて来て国家老の岩崎行部に御座いますと言うので、不正の数々聞きましたかと言うと、町奉行より聞きましたと言うので、勘定奉行以下不正に係わった、
者は家禄半減として、

勘定奉行は隠居させ嫡子に家督は譲らせなさいませ、他の物は特別にめこぼししてやる、尚金森屋は御用達を取り消して、普請は入れ札にしなされ、金森屋には1000両返してやる、不正、
等せずに家業に精をだすのだ、後の1万両は高崎藩に下げ渡す、これで財政も少しは立てなおせるでしょうと言うと、ハハツ、有難う御座りますと国家老が言うので、こんなネズミがい、
ると、

その内藩財政は破綻しますぞ、尚この橋本は勘定組かしらに取り立てなされ、この者のお陰で不正を正せたのじあ、まさに忠臣ですぞ、それを忙殺しょうとは、今後そのような事があっ、
てはなりませぬぞ、この件は上様には報告いたしません内々に済ませなされと言うと、寛大な処置有難う御座いますと言うので、風通しが良くなりようござったな、又町奉行の働き見事、
であったぞ、

これはその褒美に御座ると100両を渡して幕府からの報奨金にござる、皆を慰労しなされと言うと、ハイ、ありがたく頂戴しますと言ったのです、やがて浜崎達を捕縛して帰って来たので、
白州に座らせると、何もしておらんのに無体なと言うので間部の指図でわしを忙殺にきたのは分かっておると言うと、懐を探り、中を見て、この者に便宜計るべし、なお拒否すれば代変、
りに多くの賦役を申し付けると書いてあります、

これは何じあ、これで行く先々の大名に、わしの忙殺の助力をさせる積もりじあろう、と言うと黙っています、諸国巡察視に反抗するとは死罪じあと言うと、刀を抜き首に刃を向けて恨、
むなら、間部を恨む事じあなと言うと、一気に上段から振り下ろすと空気を切り裂くピシ~と音がしたのでみんな目を瞑ったのですが、刀は首筋でピタ~と止まると前にバタンと倒れた、
て気絶したのです、

首が落ちていないのでみんなは驚いたのです、後ろに回りカツを入れると息を吹き返したのです、寸止めしておったので首は落ちておらん、斬首になる思いをしたろう、これが斬首じあ、
ここで殺しても面白くない、これは返してやるのでいく先々でかかって来い、さすれば楽しみが増えるというもんじあ、町奉行今日は牢にいれて、明日門前で三人とも50叩きの刑にして、
解放しなされ、

100叩きじあと後を追いかけてこれなくなるのでなと笑うと、ハツ、50叩きにて解放しますると言うと、牢に引き立てていったのです、それでは、これにて一件落着に御座る、これで、
失礼いたすと言って、橋本殿ご苦労であったな、これで宜しいかと言うと、ハツ、一生懸命に奉公しますと言うので、頑張って下されというと、奉行所を出て居酒屋に戻り、杯を重ね、
たのです、

みなご苦労であった、これで忍びが間部に連絡して間部は震えあがるじあろうと言うと、山形が先手必勝に御座りますなと笑ったのです、お玉が本当に旦那様は脅かしの天才ですね、首、
は落ちたと思いましたぞと言うので、あそこで止めるのは難しいのじあよ、耳元で刀の空気を切り裂く音がするので、奴は死んだと思ったはずじあと言うと、あんまりやると間違って、
本当に首が落ちますよとお玉が言ったのです、

翌日奉行所の門前に行くと三人が座らせられて、奉行が始めますというので、傷を治して追いかけて来いと言って、始めなされいうと、奉行がひと~つと言うとピシ~、ビシ~、ビシ~、
と音がして、ぎや~と声を出したので、行くぞと言うとみんなは馬に乗り中山道を登っていったのです、天気もいいし、ゆっくり行くぞと言って疾風の首筋を叩くとヒヒヒ~ンと鳴いて、
ゆつくり進んで行ったのです、


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