第71話

文字数 2,721文字


源三郎江戸日記(弟三部)71

わかったまかしておけ、久しぶりじあなと言って膳を頼みハイを傾けたのです、おきんはと聞くとハイ、女中を5人入れました、その者達を仕切っていますと言うので、そうかそのうちに、
寄ってみようというと、みなが、喜びますと言ったのです、暫くして、それがしはこれでと言うので、いっぱい儲けてくれと言うと、ハイ、儲けけましたら、船宿を増やしますと言うと、
帰っていったのです、

あのお方はと女将が聞くので草津宿であった者じあ、盗人をよく知っているので、助かるのじあよと言うと、配下が増えたのですねと笑ったのです、それでは新之助と三蔵を呼んでくれ、
と言うと、ハイと言うと、部屋を出て行ったのです、新之助と三蔵が現れて、戻ったとは聞いておったが、上様への報告はと聞くので済まして来た、今日来て貰たのはと似顔絵を渡して、

まむしの万蔵の手下で磯辺の平吉と言う引き込み役の男らしいのだがと言うと、何まむしの万蔵の手下だと、そ奴は東海道を荒らし回っている急ぎ働きの極悪人だ、すでに6人を殺めて、
いる手配書きが回っている、江戸ではまだ勤めはしていないが、こいつの手下が入ったとなれば大変じあ、さつそく手配してみるというので、東海道ではなく千住宿から厩橋を渡って、
府内に入ったそうじあ、

情報の出所はいえぬがなと言うと、それはかまわんが、なぜ千住なのだと聞くとので、ひょっとしたら、府内ではなく千住宿に押入るのかもしれぬと言うと、なる程府内は警戒が厳しい、
ので、今度は中山道か水戸街道筋を狙うのかもしれんなと言うと、三蔵さつそく手配してくれと言うと、三蔵がヘイと言うので、懐から25両だして、テカに分けて探させろと言うと、
いつも済みませんと言うので、

こんなときは1人でも多いほうが良いと言ったのです、新之助がもう江戸で悪人から没収したのかと聞くので、阿片の密売をしようとしていたのを、阿片共々没収して、阿片は江戸湾に、
沈めたと言って、掛かり合っている者の、名前は言えぬ、公になれば、藩は取り潰さねばならぬのでな、一人の悪人の為に、藩がつぶされては気の毒じあからなと言うとそうか、こんど、
は江戸の掃除をしてくれるのかと言うので、

表はお前達だ、わしは裏と言う事になると言うと、上様に頼まれたのじあなと言うので、まあそんなとこじあと言うと、諸国巡察視は上様直属なので町奉行といえど差配される立場だ、
からなと言うので、ならば新之助酌をせいと言うと、ハハハッと言つて酌をするので、飲み干して気持いいのうと笑うと、あまり多用せんでくれと言うので、戯言じあよと酌をすると、
かたじけないと飲み干したのです、

それでは手配してくると新之助が部屋を出て行くと、お勝つ達が入って来て、お帰りなさりませと言うので、みんな稼いでおるかと言うと、花見も終わりうっとおしい梅雨がきます、
どこかに小判でも落ちていないかしら、横浜は景気が良いらしいので、出稼ぎに行こうかしらと、言うので、そうか、あそこはまだ、開発中なので、人足が景気良いじあろうというと、

女将が人足は芸者はあげませんよと笑うと、お勝つがそれが川崎や小田原から旦那衆が女郎を買いに泊りがけで来るそうで、女郎屋帰りにあやめ店の二階に芸者を呼ぶそうです、置屋、
は一軒しかなく、大忙しだそうですよと言うので、そうか、吉原帰りだと浅草になるからなあ、ここに女郎屋を作るわけにも行かんかと言って、今度江戸で京都まつりをやるんじあが、

七衛門に言うて深川の八幡様でやるようにすれば、人が押し寄せるぞ、そうなれば、ここにも人が押しかけて、芸者は沢山呼ばれるぞと言うと、本当ですか是非深川でやって貰いまし、
ょうと女将が言ったのです、それでは今日は根岸で夕餉を取ろうというと料理屋を出て根岸に向かったのです、夕暮れ時で人がいそがしくあるいています、深川のはずれに来たときに、
前の二階屋根の障子がキラリと何か光たので、

見上げると男が弓を引き絞っていたのです、このまま放たれると前を歩いている娘に当たります、とつさに娘の腰を引き右、に引くと弓が飛んできてよけ切れず、左胸に当ったのです、
う~と声を出して刀のつばに挟んであった手裏剣を抜きよろけながらヒシ~と投げると、その男は障子をあけて、二本目の矢を引き絞ろうとしていた左手に当たり、ぐわ~と声をだし、
て弓を落としてひっくり返り、

屋根に転がり下にどすんと落ちたのです慌てて立ち上がり、足を引きずりながら本所の方へ逃げ去ったのです、源三郎はめまいがしてその場に仰向けに倒れると、娘が起き上がりお武家、
様とみると胸に矢が刺さっています、きや~、助けてと言う声で人が集まり、娘が顔を覗き込むので矢は心の蔵ははずれておる、矢は抜いてはならんと言うと気を失ったのです、1人の、
男が、

これは源三郎様だ、誰か戸板を持ってこい、玄庵先生の処にはこぶぞと言って戸板に乗せて、娘さんもと言うと、ハイと言って玄庵の診療所に担ぎこんだのです、玄庵がこれはご家老、
なんとした事だと言って、ここに置きなさいというと、何か言うていたかと娘に聞くと、心の蔵は外れている、矢は抜いてはにらんと言うておられましたがと言うので、見てなる程、
刺さっているのは二寸もない、

あばら骨で止ったのじあろう、運の良いお方じあ、それにこの矢はやじりはまっすぐじあ、と言うと、首筋に手を当てて、大丈夫じあと言うと、少しづつ矢を抜くとスポッと抜けたの、
です、さらしで傷口を押さえると血が出てきましたが、そんなに多くありません、大きな血の管は破れておらぬな、これなら、命に別状はないと言うと、酒で消毒して傷口に塗り薬を、
入れて、

さらしで体を巻いたのです、奥に運べと弟子に言って、そ~と運んで寝かせたのです、頭を触り熱が出てきたなと言うと、桶に水を用意させて頭を冷やしたのです、誰が弓を射たのだ、
と玄庵が聞くと、わかりませんこの方が私を横にずらした途端弓が飛んできたのですと言うので、そうか、そなたに当たるところを助けたのでよけきれなかったのじあな、心配するな、
熱が下がれば意識が戻るというと、

助かるのですね、この方はわたしの命の恩人ですと言うので、前を歩いていたので、そなたを射て次にご家老を射るつもりじやったのだろうと言うと、この方が何かを投げられたので、
その男は弓を落として屋根瓦から落ちて、立ち上がると足を引きづりながら本所の方へ逃げていきましたと言うので、この深手をおいながら手裏剣を投げられたのか、さかすが目録持、
ちじあな、

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