第36話

文字数 2,585文字


源三郎江戸日記(弟三部)36

殿を連れてくれば寛大な処置をすると言うていますがと言うので、いかねばなるまい、わしも同道する案内せよと言うので、旅籠に連れて行き部屋に入つて座ろうとするので、こちらにと、
上座を勧めると、家老も一緒に座ろうとするので、そなたは下座に座るのじあ、本来ならばわしは上様の代理なので上座じあが、ここは上松領ではないので上座にお座りなされと言ったの、
です

それがしが諸国巡察視村上源三郎に御座います、聞きたい事があり来てもらいました、昨年江戸に登るときに子供を手打ちにしょうとする藩士をとめた者を国元に帰し謹慎させたのは綱道、
様の指図かと聞くと、何そのような事はわしは知らぬというので、それでは誰の差し金じあ、そなたは何ものじあと家老に聞くと、主席家老の緒方監物にござる、それがしが指図いたした、
がと言うので、

藩主は知らぬと言うているではないかと言うと、それがしが後見役にて政はお預かりしています、それがしが殿に代わって指図するのに何か不都合が御座るかと言うので、後見役とは政を、
専横する役目ではない、あくまでも補佐する立場にて、やった事はすべからく藩主に報告すべきである、それをしないのは、政を専横している事になるぞと言うと、歳はも行かぬ殿には、
判別はつきもうさんと言うので、

すでに15才になられるのであろう、それ位の事は判別できるはずじあ、どうも、間違った補佐をしているようじあ、そなたは、即刻隠居せよと言うと、我が藩の事に口出しは無用に御座る、
と言うので、隠居すれば嫡子に家禄を継がせてもよいが、しないなら、上松に行き、国久君と先君の亡くなった経過をつぶさに調べれば、そなたが医師に言うて毒をもった事がわかり上松、
藩は改易となると言うと、

なにを証拠にと言うので、御殿医師がトリカブトを隠した場所をわしは知っておるのじあ、それを掘り起こし御殿医を攻めれば白状するであろうさすればそなたは斬首となり上松藩は改易、
となる、尾張公には話がしてある、国境に1万の軍勢を待機させるようにしてあると言うと、そんな、無体なと言うので、無体かどうかは調べればわかる、これをみよ、老中と言えどわしに、
逆らう事は出来ぬじあ、

もうよいわせっかく寛大にしょうとしたのに、そなたが拒否したのじあ、これより立ち戻り戦支度をするのじあ、綱道様戦場でお会いいたそう、そなたは大将じあ、見苦しい振る舞いは、
なりませぬぞと言うと、わしは戦は嫌いじあと言うので、藩主なれば逃げる事はで来ませぬ、戦をせんで済む方法は、この主席家老とそれがしを立ち会わせる事に御座る、何人助太刀を、
用意してもよいぞと言うと、

緒方受けるのじあと言うと、ハッ、承知しましたと言うので、それでは上松で待っていなされと言うと、部屋を送り出したのです、緒方がこうなれば尋常な立会いで抹殺するしかない、
奴が言うたのだ幕府にはいわれのない事で果し合いをした事にすれば良いと言うので、しかし、余り大勢でかかると卑怯者呼ばわりされますと言うので、奴らと同じ人数にすれば良い、
じあろう、

腕の立つ者を選ぶので心配ない、そなたは何人でよいか、聞いてまいれと言ったのです、田中が再びやって来て、何人用意すればと言うので、わしを入れて7人と後2人で9人じあがと言、
うと、我が藩も主席家老入れて9人用意しますと言うので、そなたは主席家老一派かと聞くと、いや国久君を押したので250石から120石に減禄となり道中奉行に格下げで御座ると言う、
ので、

緒方の専横振りは目にあまるであろうと言うと、私たちは手はだせませぬと言うので、江戸家老はどうしているのじあと聞くと、国元で隠居して1200石から600石に減禄されて嫡子が無役、
で御座いますと言って、家禄100石以上は総て半減にござる、郡奉行は切腹で郡組頭以下は10人は取り潰され追放となりもうしたと言うので、組頭の武田新太郎が打ってに殺された事は知、
っているであろうと言うと、

ハイ、聞きました新太郎は事の真意を探っていたので狙われたのです、そのトリカブトの埋めた場所を知っていたのですねと言うので、わしが妻女から聞いたのじあよ、おそらく掘り起こ、
して何処かに隠すつもりじあろうというと、なぜ、言うたので御座るかと聞くので、証拠などどうでもよいのじあ、いまさら死んだ者は生き返らぬ、上松藩を救うには主席家老を忠罰する、
しかないであろう、

綱道様は何もしらないのじあと言うと、ハイ、それがしもお手伝いいたします、国元に知らせが行きましたら途中で討ち取るように、仲間に連絡しますと言うので、手は出すなもうわしの、
手の者が見張っておる、隠しても無駄じあ、味方するなら改易だけは免れるようにいたそうと言うと、ハッ、それではほかの者が手を出さないように段取りしますと言うと、帰っていたの、
です、

飛猿と言うと、これより上松に行き御殿医を見張ります、知らせが行けば毒を何処かに隠すはずですと言って、月夜ならば明日につきます、やつらは朝早飛脚を立てるでしょうと言うので、
たのんだぞと言うと、承知と言うと部屋を出て行ったのです、お玉が引っ掛けの天才ですねと笑うので、大勢でかかってくると相手に死人も出るじあろう、主席家老の命令では聞かぬわけ、
にもいかんだろうと言うと、

そうですね、同じ人数で勝てるはずはないのにと言ったのです、皆なこんどはちと骨のある者がかかって来るかも知れぬ用心しろと言うと、まかしておいてくだされと山形が言ったのです、
翌日諏訪を出て上松に向かったのです、塩尻峠を越えて進み塩尻宿に着くと比較的大きな宿場です、北にいけば信濃その先は越後じあよ信玄公はここを通って信濃平らに出たわけじあな、

南に下ると鳥居峠があるその先が木曽じあ、木曽は天領じあがここからは水田は少なく、もつぱら林業で糧をえておる、特に檜はいいのがあるそうじあと言うと、中山道は峠だらけです、
ねと言うので、川止めがないので予定が組み易いわけじあよと言ったのです、この分では夕暮れ前までには上松に着くじあろうと言ったのです、もうすぐ鳥居峠じあ、そこでひる飯を、
食べよう、峠に茶屋があるはずだと言うと登って行ったのです、


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