第30話

文字数 2,723文字


源三郎江戸日記(弟三部)30

そなたの主人の実家も糧を失う事になる、出来るのは国家老一派を排除する事しか出来ぬがと言うと、主人もいまわのきわに、そう申しておりました、それでここに留まりここで生きて、
行く事にしたのですと言うので、お家再興はしなくて良いのかと聞くと、相手が家老ではあだ討ちの許しがでませぬと言うので、わしが許してやろう、助太刀もするぞと言うと、本当で、
御座りますか、

しかし藩が取り潰されてはと言うので、それは、内々に処置するので大丈夫じあよ、しかし、ここを留守にする訳にはいかんなと言うと、宿場のおかねさんに頼みます、あだ討ちで本懐、
をとげても、ここに戻り、いままで通り暮します、お家再興は新之助が元服してからに出来ないでしょうかと言うので、それは構わんが、別れて暮らす事になるがと言うと、それで良、
いのです、

新之助は嫁を貰い家を守り立ててれば良いのですと言うので、それでは、用意が出来たら知らせをよこすので、上松まで新之助と来るが良いと、馬なら1日半で着くと言うと、ハイ知ら、
せを受ければ直ぐに行きますと言ったのです、翌日は新之助は娘を馬にのせて高崎に出掛けて行ったのです、源三郎達は女将に世話になった、それでは出立するが知らせるまで達者で、
暮せというと旅籠を出たのです、

峠を降りて行き峠の下に行くと、藪から一匹の狼が出て来てキバを立てて威嚇したので、みんなに下がっていろといって、馬をおり狩に失敗して腹がへってるのじあなと近寄り、手を、
かざして目を見ると、牙をむくのをやめて犬みたいにくう~んと言うので、頭をなでると源三郎の手を舐めまわしたのです、餌をやるわけにはいかんが、付いて来いと沢の方におりて、
行くと、

後をついてきます、この辺でいいだろうと言って、山形に弓と矢をくれと言って受け取り、お玉あの上に小石を投げてくれと言うと、ハイ、と言って投げると、源三郎が川もに向かっ、
て矢をいると、フシュ~と音がして水に矢が入ったのです、直ぐに矢が浮き上がり見ると見事に岩魚が刺さっています、次々に矢を7本射ると5本に、刺さって水面に浮いたのです、

おとなしく座っていた狼に取って来いと尻を叩くと水に入り口にくわえて、何べんか往復して持ってきたので、岩の上に矢から外しておいて、さあ食べろと言うと、嬉しそうにがぶり、
とかぶりつき、骨を残して2匹食べたのです、後は食べようとしません、腹を見るとどうも最近まで乳が出ていたみたいです、そうか、子供が乳離れしたのか、それで獲物を追いかけて、
ここまで来たが逃げられたのかと言って、

それでは水面を指さし岩魚を取って来いと言って尻を叩くと、水に入り水面を見ていましたがいきなり、飛びはね水に飛び込んだのです、顔を出すと見事に岩魚をくわえています、もっ、
て来たので、岩に載せると、又水に入り飛び込むのを三回繰り返し3匹の岩魚を捕まえたのです、それからは、取ろうとしないので、そうか、これだけあれば良いのじあなと言って短い、
竹の両脇にエラから刺して、

真ん中をくわえられるように開けて、岩魚が外れないように両脇を細いかずらで縛ったのです、差し出してくわえるように言うと、真ん中をくわえたので、子供がまっているのじあろう、
早く持って行ってやれと言って、尻を叩くと立ち上がり岩伝いに川向こうの山を登り、上に行くと岩の上に岩魚をおき、こっちを向いてうお~んと鳴いたのです、又口に加えると飛び、
跳ねて山の中に消えたのです、

お玉が賢い狼ですね、まるで旦那様の言葉が分かるみたいでしたと言うので、手の動作で分かるのじあろう、岩魚を狩する事を覚えたので獲物が取れないときの腹の足しになるじあろう、
一度人を襲えば次からは、人を襲うようになるからのう、これで、人は襲わないじあろうというと、みんなが、狼までご家老のいいなりになるのだから、すごいですよと言ったのです、

沢山の動物の匂いがするので仲間だとでも思ったのじあろうと言って、さあ行くぞと道に戻り軽井沢宿に向かったのです、ここは小さな宿場で、ゆつくりと通りすぎて沓掛宿に向かった、
のです、程なく着くと、飛猿が傍によったので、一休みしょうと、居酒屋に入ったのです、どうだ様子はと聞くと、いますよ、黒駒一家と言うやくざがいまして、こいつが博打場と、
水茶屋に金貸しをやっています、

イカサマ博打をやっており、払えなくなると、娘や女房を水茶屋で客引きをさせている悪い奴です、親分は勝三と言う奴で、前に熊吉と言うのが親分だったそうですが3年前にこの宿場、
の旅籠浅間屋の息子、時次郎郎に匕首で刺されて死んだので、小頭の勝三が親分になったそうですと言うので、素人に刺されたのかと言うと、博打の借金の方に妹をよこせと言っていた、
そうで、

熊吉が囲っている女の内から出ようとした時、いきなり入って来て刺して逃げたそうです、時次郎はそのまま宿場を出て行方しれずだそうで代官が下手人として手配して時次郎は凶状持、
ちになったそうです、それでその旅籠の娘はと聞くと、その店の女将が時次郎は勘当したと言ったそうで、博打の借金と言う事で代官が返すに及ばぬと言って、浅間屋の娘は助かったそう、
です、

それからは親分になった勝三が、代官に助けて貰ったのだから、屋敷に奉公しろと言っているそうですが、女将は一人娘なのでと断っているので、色々嫌がらせしているそうですと言っ、
たのです、素人が急所を刺せるはずがない、その親分を治療した医師がいるはずだ、つれてきてくれと頼むと、しばらくして、医師の源内ですがと言うので、熊吉の治療をしたそうじが、
と聞くと、

わたしが見たときは事きれていました、左わき腹と左胸を一突きされていました、左わき腹はほんのかすり傷ですが、左胸は心の蔵まで達した傷で、これが致命症でしたと言うので、
素人の仕業かと聞くと、いや、素人ではあんな刺し方は無理ですと言うので、それを代官に言うたのかと聞くと、ハイいいました時次郎があの家から出て来たのは何人も見ている、
奴が下手人に違いないとお聞きになられませんでした、

その代官は江戸に帰られて、今は違う代官が江戸より来ておりますと言ったのです、わかったご苦労じやったと言うと、源内は帰っていったのです、多分時次郎が左わき腹を刺し勝三、
が留めを刺して、時次郎に罪を被せて自分が親分になったのだろう、それでは、その浅間屋に宿をとろうと言って、浅間屋に行き馬を頼んでわらじを脱いだのです、あしをすすぐと、
女将が部屋に案内したので部屋に入り、

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