第82話

文字数 2,830文字


源三郎江戸日記(弟三部)82
 
奉行所に30名その他人足が500名ちかくいます、直ぐに立ち去らねば、本陣に押入り殿の首を上げるというて、おり回りは囲まれましたと言うので、何人足じあと藩士で蹴散らせと言うと、
無理で御座います、ここには藩士50名しかいませぬというと、誰か呼びに生かせて後ろから攻撃させろと言うと、下田が承知と言うと本陣を出て旅籠に行こうとすると、大勢の人間が旅籠、
総てを取り囲んで、

ありのはいでる隙間もありません、急ぎ本陣に戻り、旅籠はその他の人足200名に囲まれていますと言うので、何700人からいるのかと聞くと、手に手に棒を持っております、この人数で、
は太刀打ちできませぬと言うと、時田を呼べと言うので下田が殿がお呼びですと言うので、だから、いわぬ事ではないのじあと言うと、直道の傍に行き、こうなりますと言うと、何とか、
ならぬのかと言うので、

奉行所まで敵に回せば無理で御座います、しかたないのでこれから出立して、戸塚宿に行くしかありませぬと言うので、しかたない、出立しょうと言うと、用意をして全員戸塚宿に行くと、
すでに本陣は江戸に登る尾張家が逗留しており、副本陣に直道だけでもと言うと、尾張公がこの戸塚宿に留まる事はまかりならぬ、どうしてもと言うなら尾張藩と戦をするつもりで掛かっ、
てまいれと言われたのです、

時田が戸塚を過ぎて野宿するしかありませぬと言うと、くそ~、村上の息がかかっているのか、しかたない、野宿じあと言うので、行列は戸塚を越えて、野原で野宿に入ったのです、おし、
くも梅雨時で、雨にになり震えながら夜を過ごす事になってしまったのです、飛猿がみんなに、明石藩は戸塚宿に逗留している尾張公に同宿を拒否されて戸塚宿を越した野原で野宿してい、
ます、

この雨に震えていますよ、夜食の握り飯も戸塚宿で断られたそうで、あしたは小田原までのまず食わずの旅です、尾張公が藤枝宿に使いを出して、名主に手助けするなといいつけられた、
そうですと言うので、権藤がそれは大変に事じあな、すこしは懲りるじあろう、三島まではもっと懲らしめようと笑ったのです、それでは勝どきをあげよう言うと、みながエイエイオー、
と勝どきを上げて解散したのです、

権藤は居酒屋に戻りあやめにお手柄でしたと言うと、すこしは源三郎様の役にたったかしらと言うと、富蔵が大活躍でしたねと言うと、本陣の番頭にえらい損害ですねと言うと、いいえ、
時田様が300両を置いていかれました、後で旅籠にも配りますと言って、料理は長屋の人足達に分けます、今家人がおりに包んでいます、と言つたのです、富蔵がそれはすまんと言うと、
いいえ、よく働いてくれましたと笑ったのです、

権藤がそれではここは大丈夫なので、夜半に野原の横を駆け抜けて脅かして、藤枝宿の仲間と合流しますと言うと、あやめが、時田と言う家老は悪人ではないようですね、握り飯を3つ、
用意します、それをなげて行きなされと言って竹皮に作り風呂敷に入れて渡したので、律儀なやつなので直道に差し出すよと言うと、すこしは家臣のありがたみがわかるのではと言う、
ので、それなら良いがと受取ったのです、

横浜宿も平穏を取り戻したので、権藤は馬に乗り戸塚を越えると、雨も上がり、あちこちでかがり火を炊いています、ゆっくり近づき、いきなりうお~と時の声を上げて横の街道を走り、
風呂敷包みと炸裂弾を投げると、どか~んと音がして、すわ、敵だ~殿を守れと時田が言うと、全員がおきて直道の処へかけつけたのです、そのままひずめの音は遠ざかると、敵は藤枝宿、
方面に走りさりましたと言うので、

警戒を解き解散せよというと、こんなものがと風呂敷き包みを藩士が渡すので中を開けると、にぎりめしが入っています、毒でも入っているのではと言うので、一つを時田が半分に割り、
食べて、大丈夫じあ、金寸を置いて来た礼じあろうと言って、直道の元にもって行くと、毒は入っていないのかと言うので、それがしが半分食いましたが、大丈夫ですと言うと受取り、
ガツ、ガツと食べたのです、

食べ終わると水を飲み生きたここちがしたぞ、こんな目にあうのはいやじあ、小田原から船にのるぞと言うので、箱根の関所は大名が面体をさらして通ると定められています、船は三島、
からしか乗れませぬというので、くそ~源三郎めと唇を噛んだのです、翌日明石藩一向は小田原にたどり着き、湯に入り夕餉を食べてやっと一息ついたのです、時田がここで騒ぎを起こ、
せば小田原藩と揉め事になりますぞと言うと、

直道はわかった芸子も呼ばぬと言ったのです、翌日は小田原を出て今日は三島までじあ、ここまで行けば襲われる事はない、箱根の関所から三島までは一番危険じあ、用心せよと言って、
籠は空として直道は騎馬隊に紛れ込んで進んで行ったのです、箱根の関所の前で籠に乗り、籠を開けて顔を見せると、役人が行列の人数も調べたのです、関所を越えて再び馬に乗り下り、
道に入ると先頭の直ぐ先に崖の上から材木がころげ落ちてきて、

街道を転がり谷川に落ちたのです、敵の襲撃だ籠を守れと言いましたが、道幅は狭く籠の前と後ろを大勢がまもり、騎馬隊は先を走って駆け下りようとすると、最初の馬がつまずき藩士、
が振り落とされたのです、上から炸裂弾が投げ込まれてどか~ん、どか~んと音がして破裂して、馬が棒立ちとなりみんな振り落とされたのです、立ち上がり刀を抜いてかまえましたが、
だれも襲ってこず、

直道は足をくじいたらしく、足をさらしで巻きつけて立たせて、馬に乗せると、ゆっくりと峠を降りて行ったのです、時田がまだまだ油断するなと先頭を馬で警戒しながら進んで行くと、
峠の出口に来たときに、横の杉の木に矢がブス、ブスと刺さり、敵の襲撃じあ、左に迂回するぞと言うと、左の小道に入り急ぎ駆け抜けると、つり橋に出たのです、渡ろうとすると炸裂、
弾を足元に打ち込まれ、

ドカンと音がしたので、危ない先回りされている引き換えして突破するぞと言うと、引き返して本道にでましたが、敵の姿は見えません、本道を三島へ警戒しながら進んで行き人家が見、
えてきたので、一気に本陣へ行くぞと言う馬を走らせて本陣にたどりついたのです、直道を馬から下ろして、ここまでくれば大丈夫ですと言うと、ビッコをひきながら、本陣に入ったの、
です、

医師がさらしを取り薬を塗りさらし縛り、熱をもっております、今夜は御酒は控えなされと言うと、酒も飲めぬのかくそ~と言うので、明日は船で大阪に行きます、もう大丈夫で御座い、
ますと言うと、源三郎め悔しがっているじあろうと直道が笑ったのです、時田が大阪の蔵屋敷には国許の家臣200名が来ておるはずです、400人おればだれも、手は出せませぬと言うと、
それでも襲うて来れば面白いのうと言ったのです、

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